平成31年の新しい年を迎えました。昨年は、前半は法務副大臣兼内閣府副大臣、後半は衆議院法務委員長として、所有者不明土地問題や外国人材の受け入れの問題に取り組ませて頂きました。喫緊の取り組みが必要な人口の減少問題のほか、我が国を取り巻く安全保障環境や経済連携の枠組みが複雑化するなど、現在私たちの日本は、内外に困難な問題を抱えています。今年1年、気を引き締めて、国政に全力を傾ける所存です。一層のご指導を賜れれば幸甚に存じます。
私は、平成30年10月26日に召集された臨時国会で、衆議院法務委員長に選任された。
実は平成28年の通常国会でも同じく法務委員長を務めているので、2年振り、2回目の登板となる。これは、異例のことだ。
今回の臨時国会では、新たに、即戦力となる外国人材を受け入れることを内容とする改正入管法が法務委員会で審議されることとなっており、マスコミなど世間の関心も高く、臨時国会の会期(12月10日まで)内成立を危ぶむ声もあった。
私は、この法案の審理の責任者として汗をかくこととなったが、国会での審理のみならず、法案の与党審査、さらにその後の政府基本方針等の与党審査でも議論をリードしていかなければならず、かなりの労力と時間を割くこととなった。
(人手不足の深刻化)
さて、現在我が国は、本格的な人口減少社会を迎えている。
それに伴い、各地で、人手不足が深刻化し、仕事はあっても、人手不足ゆえの企業倒産が多発している。
15歳から64歳までの、いわゆる生産年齢人口は、1990年代半ばまでは、全人口の70%以上を占めていたが、2018(平成30)年には、60%を割り込むまで減少してしまった。
このため、政府においても、女性の社会進出を促したり、高齢者の方々にも生涯現役として働いて頂く施策を講じたり、AIやロボットなどのイノベーションに取り組んでいるわけだが、それでもなお、特に地方を中心に、仕事の担い手がいない現状は解消していない。
改正入管法は、外国人材の受け入れ枠を多少広げ、深刻化する人手不足に対応していこうとするものだ。
すなわち、我が国では既に、専門性の高い人材や、技能実習生、留学生などの形で、約130万人の外国人の方が活動しているが、これに、今後5年間で最大30万人程度の外国人材の受け入れ拡大を図ることを内容としている。
(「単純労働者」でも「移民」でもない)
私は、今回の外国人材受け入れ枠の拡大だけで、現在の人手不足の状況を全て解消できるとは考えていない。
また、今回の改正が、我が国の入国管理政策の根幹を変えるものとも思っていない。
その理由は2つある。
第1に、今回の改正は、いわゆる「単純労働者」の受け入れではないと言うことだ。
「単純労働」の定義はなかなか難しいが、まあ、「その国における義務教育を修了した者がすぐに従事できる労働」といったイメージで考えてみよう。
今回の外国人材には、日常生活に不自由がない程度の日本語能力が求められ、試験にも合格しなければならない。「日本語」は多分その国では第2外国語程度の位置づけだろうから、義務教育終了後何らかのトレーニングを受けなければ合格は無理だろう。
これに加えて、一定の技能・経験を有することについての試験に合格することが必要で、技能実習生の場合は3年間のその分野における実務を無事に済ませていることが求められる。
それだけの人材が本当に集まるかどうかは別として、結構ハードルは高い。
第2は、「移民政策」とは異なると言うことだ。
「移民」の定義も、非常に多義的だが、私自身は、家族で暮らすことが1つの大きな要素であると思う。
在留期間に制限を設けたとしても、家族での移住の場合、「不法移民」が多く発生しやすくなる。
今回の制度では、最長5年の在留期間を設定し、基本的に家族帯同は認めないこととなっており、いわゆる「移民政策」とは趣きを異にする。
もっとも、家族帯同を認めないことについては、賛否両論あることは承知している。
以上2つの問題については、さらに国民的議論が必要と思う。
ただ、今回の改正法は、深刻化する人手不足の問題に一定の対処を行うものであり、緊急の対処で必要ということで提案されたもので、外国人労働者やその家族にどう向き合うかという国民的議論は、別途進めていくことが必要と思う。
(国会審議)
入管法の改正については、マスコミでも、「今国会の目玉」、「国の形が変わる」等々、大きく報道されたこともあって、野党の皆さんは、早々と、「臨時国会での成立阻止」という方針を打ち出した。
それでも、11月2日の改正法案の国会提出後、11月13日の火曜日には、衆議院本会議で安倍総理出席の下、趣旨説明質疑が行われ、ようやく審議入りということになった。
通常、本会議での質疑後は、速やかに委員会での審議が行われるが、野党の皆さんとなかなか合意できなかったため、さすがに、本会議質疑の翌週に審議入りではまずかろうと、私が、委員長職権により、11月16日の金曜日に審議入りを決定した。
しかし、11月16日の審議入りの直前、私に対する委員長解任決議案が提出され、11月16日と20日の定例日(法務委員会の定例日は火水金)の委員会審議ができなくなってしまった。
11月20日の本会議で私の解任決議案が否決された後、委員会での審議入りができたのが、ようやく11月21日だった。
そして、解任決議処理で定例日審議が2日間できなくなっていたため、やむを得ず、定例日外ではあるが、11月22日と26日にも、委員会を開会した。
委員会の審議内容は、私のホームページにもアップしてあるが、野党の皆さんの質問は、失踪した技能実習生の失踪動機について法務省の集計ミスが明らかになったこともあり、例えば、「失踪した技能実習生の多くが、劣悪な環境の下に置かれているのではないか。」「3年間の技能実習を終えた方に新たな在留資格を与える今回の法案は、崩れた土台の上に家を建てるものではないか。」等々の内容だった。
確かに、不当な取り扱いを受けた失踪技能実習生の問題は大きな問題だし、法務省の集計ミスも重大な問題だ。このことの分析は、今後の技能実習制度の改善に役立てていかなければならない。
ただ、今回の制度で新たな在留資格を得ることができる技能実習生は、3年間無事に技能実習を修了し、その後も日本での就労を希望する方に限定され、失踪技能実習生は対象にはなり得ない。
しかも、新たな在留資格は、同じ業種であれば雇い主を変えることも可能で、実習場所が固定され、従って「失踪」という概念がある技能実習とは、全く別のものだ。
以上のような質疑の方向性を見極め、採決の環境は整ったと判断できたので、11月27日、委員会採決を行い、法案は衆議院を通過した。
これまで大まかに、改正法の内容と国会審議の概要を述べたが、さらに詳細な内容については、今後、このコラムでも、折に触れて述べてみようと思う。
出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案(197国会閣1)
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