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政府の対応にしびれを切らす~幹事長室緊急提言を策定

2020-7-24

第1 幹事長室緊急提言を策定するまで

(私が感じた疑問)

先のコラムで私は、①仮設でも良いので、新型コロナの感染者が急拡大したときに備え、病床(人員の確保は当然)を準備しておくべき。②経済活動再開の安心のため、自費負担でも良いから、PCR検査や抗原検査を受けることができるようなルートを確立すべき。ということを訴えた。
そして、このことについて、党内の会合でも、ゴールデンウィーク前後から、ずっと発言してきた。
しかし、5月から6月にかけ、感染者数の増加がある程度落ち着きを見せ、超大型の給付措置等を内容とする第2次補正予算も成立すると、政策対応に「ほっと一息」感が見えるようになった。
政府や党の政策議論も、コロナ後の国際秩序形成(「米中新冷戦」?)やデジタルトランスフォーメーションによる新しい経済の構築に移行してしまった。
それはそれで大切なのだろうが、冒頭述べた問題意識を持っていた私自身は、本当にこれで良いのかと、大いに疑問を持っていた。

 

(幹事長室の動き)

そんな折りの5月下旬、幹事長室(私は、現在副幹事長)で、今後、新型コロナの第2波がおそってきた場合に備え、どのような準備をしておくべきか、勉強会を持とうではないかということになり、私がその事務局を担うこととなった。そして、結果的に、私の問題意識を政策提言に昇華させる場を持つことができた。。
この勉強会は、役所や専門家からのヒアリング及び自由討議の計8回開催し、これを先般、提言としてまとめ、7月21日、幹事長に報告して了承を得た(第2に提言全文を記載)。
その内容は、基本的には、冒頭述べた私の問題意識をブラッシュアップしたものとなっているが、これに加え、運用により現行法の実効性を確保するための方策を提言するとともに、今後法改正を検討すべき項目を提示したものとなっている。
特に、PCR・抗原検査については、既に2月来、検査の抜本的拡充が求められているにもかかわらず、厚生労働省・保健所が疲弊し、国民が期待するレベルの拡充には至っていないのが現状だ。このため私は、民間活力の導入(ただし、PCR=1.8万円、抗原=6千円という値段をしっかり周知し、余りに高額な検査による消費者被害を防止する必要。また、医師が認めた場合は、当然保険適用。)により、国民のニーズに応えることが大切と思う。
また、その形式も、いわゆる霞ヶ関文学の長い文章とするのでなく、箇条書き的に、考え方を示したものとなっている。

さて、7月に入り、東京を中心に、新型コロナの感染が再び急拡大している。
だからこそ、この緊急提言が、早急に実行に移されることを望む。

第2 新型コロナウイルス感染症対策に係る幹事長室緊急提言

Ⅰ はじめに

○ 我が国は、民主的で人権を重視した手法により、新型コロナウイルス感染症の第1波の感染拡大防止に一定の成果。

○ しかし、最近、感染者数が急速に増加し、国民の不安感の払拭や本格的な経済活動の再開には至っていない。

○ そこで、幹事長室においては、今後、経済活動を萎縮させずに、感染症まん延防止を図るために何をなすべきかを議論。

Ⅱ 基本的考え方

○ まずは、特措法、感染症法、検疫法等の法改正を伴わなくても可能な、緊急に講ずべき施策を提言する。

○ 次に、感染の急拡大に備え、民主主義、人権、法の支配等の価値観を共有する諸外国の例も参考に、今後法改正も視野に積極的検討を行う(別紙1)。

○ 万が一、感染が爆発的に拡大した場合でも、国の機能が維持できるような憲法のあり方について、更に議論を深めるべき。

Ⅲ 緊急に講ずべき施策提言

1 特措法の実効性を確保するために

(指摘された問題点)

○ 今回の緊急事態宣言下でも、休業要請等に従わない事業者が散見され、次に宣言が発出された場合、これに基づく措置の実効性の確保が課題。

(1) 要請・指示等の実効性の確保方策

○ 最善は、今後緊急事態宣言を発出せずに感染をコントロールすること。このため、2以下に記した施策を緊急に実施すべき。

○ 宣言発出に備え、今後、政府、自治体、金融機関がコロナ対策の給付、融資等を行う場合、予め、休業要請に従う旨を誓約させるべき。

○ これにより、事業者が休業要請に反した場合、融資の返済義務や給付の返還義務等が生じることとなり、運用により特措法の実効性を確保する。

(2) 国、都道府県等の連携

○ 上記のような実効性確保方策をとるには、特措法の総合調整機能等に基づき、国、都道府県及び金融機関は、一層の連携強化を図るべき。

2 検査体制等の抜本的強化で国民の不安を払拭すべき

(指摘された問題点)

○ 検査の精度、効果、限界等の情報提供が大切。PCRについては、陰性なら経済活動再開の「気休め以上」にはなる。

○ このウィルスは、無症状でも感染力を持っている方がいる。大変やっかいだ。今後も院内感染リスクがある。

(1) 検査の抜本的拡充と官民の役割分担

○ 発熱や咳等の症状がある方が、速やかにPCR検査を受けることができるよう、行政検査の抜本的拡充を求める。

○ 現在無症状者は、濃厚接触者など、保健所等が必要と認めた人を行政検査(無料)。自由に検査が受けられるわけではない。

○ 感染リスクの低い無症状者の検査は、自費の負担(保険点数でPCR検査1.8万円、抗原検査6千円)が必要。現在、受け皿となる民間検査機関は少ない。

○ ただ、精度が比較的高いPCR検査でも、偽陰性及び偽陽性の問題があり、「検査での陰性」=「確実な陰性証明」でないことにも注意が必要。

○ また、検査は万能ではなく、現在陰性でも、今後いつ感染するかも知れないことに留意する必要。

○ その上で、「気休め以上」であっても、経済活動を行う「安心のエビデンス」を求める需要は高く、民間の検査はビジネスとして成り立ち得る。

○ このため政府は、民間検査機関による検査が行われることを念頭に、検査の限界、効果、標準的料金等の注意事項を、確実に周知すべき(別紙2)。

○ また、政府は、民間検査機関による検査の質の確保について、ガイドラインを策定し、国民の安心を確保すべき。

(2) 保健所の体制と機能の強化

○ 今回、保健所の圧倒的マンパワー不足が明らかになった。行政検査の抜本的拡充のため、その体制強化が急務。

○ また、今後の民間検査機関による検査の拡大に備え、保健所は、民間検査機関と連携しつつ、検査の質の確保を図るべき。

(3) 秋冬の「風邪やインフル」の流行に備える

○ 現在、診療所・病院は、感染を恐れ、風邪等の患者の受診が減少し経営も悪化。秋冬の風邪等の流行に向け、行政や診療所等での検査の拡充が望まれる。

○ 風邪等の有症状者が、診療所等の医師の判断と紹介により、民間検査機関で保険適用の簡易な検査を受けられる仕組みも検討すべき。

○ 上記の簡易検査の結果、陽性の方は保健所の措置に従い、陰性の方は診療所等の医師による風邪等の診療を継続するといった方策を確立すべき。

3 「十分な医療体制」で国民の不安を払拭

(1) 平時からの感染症病床の準備

○ 今後新型コロナ感染者が急増した場合の感染症専門以外の医療機関や宿泊施設への収容依頼は、あくまで緊急避難的措置と認識。

○ すなわち、感染症専門以外の医療機関は本来それぞれの患者への対応があり、宿泊施設には、経済活動再開後の宿泊者対応があることに留意すべき。

○ このため、「感染症病床の整備」として、テントや仮設のプレハブ、簡易病床、換気装置、人工呼吸器、衛生用品等の準備を検討すべき。
(2)軽症者・無症状陽性者の収容施設の確保と行動制限

○ 軽症者や無症状陽性者の収容施設の確保は喫緊の課題。感染拡大時には、(1)で準備を検討することとされた仮設の医療機関への措置入院も検討すべき。

○ 自宅待機等が要請された軽症者や無症状陽性者との連絡の確保や行動の把握方策について、今後更に検討すべき。

4 安心して外国との交流を再開するために

(1)出入国時の検査

○ 現在、出国側の国において、検査を行うことが、国際民間航空機関(ICAO)の一般的なルール。

○ 日本からの出国に際しては、無料の行政検査でなく、受益者負担の民間検査機関での検査が想定され、その量と質の確保を図るべき。

○ また、日本への入国については、出国側の国の感染状況や検査体制のレベルは様々であり、今後更に検討すべき。

(2)入国後の感染防止措置の実効性確保

○ 入国後、検疫所長が指定する場所での14日間の待機及び公共交通機関を使わないことの要請が確実に遵守されることが重要。

○ このため、上記要請に従う旨の誓約を入国の条件とすることも検討すべき。

○ さらに、入国時にスマートフォンの位置情報保存や、接触確認アプリの導入を広く推奨する等、実効性確保に向けた方策を検討すべき。

5 「新しい生活様式と働き方」を定着させるために

(0)指摘された問題点

○ 「新しい生活様式」は、「可能であれば」ということで、少しきつめに作った。

○ 「確実に守ることのできる」ガイドラインを示すことが重要。

(1) 必ず守らなければならない「新しい生活様式」とは

○ 専門家の意見では、国民に必ず実行して頂きたい「新しい生活様式」は、1にマスク、2に手洗い、3、4の次に5に社会的距離。

○ それ以外の注意点は、ケースバイケースで、実行が望まれるとの指摘もあり、国民への周知に当たっては、その意味づけを明確化すべき。

(2) 新しい働き方と業種別ガイドラインの定着のために

○ 「具合が悪ければ休む」働き方を定着させる。その際、やむを得ず働かなければならない日雇い、非正規労働者の対応も検討すべき。

○ 「業種別ガイドライン」を遵守しつつ営業する店舗を、消費者に明らかにする仕組みを構築し、その定着を図るべき。

幹事長室勉強会 開催実績

5月29日(金)
〇新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正経緯、課題等について
〇感染症に対する法制度について(感染症法、検疫法)

6月4日(木)
〇諸外国における罰則の実例について
〇諸外国における感染症法や検疫について
〇クルーズ船やクラスター対策における対応について

6月11日(木)
〇新型インフルエンザ等対策特別措置法の課題等について
(講師)国立保健医療科学院   斎藤 智也 部長

6月18日(木)
〇保健所、地方衛生研究所における対応について
(講師)北区保健所   前田 秀雄 保健所長
川崎市健康安全研究所   三崎 貴子 部長

6月25日(木)
〇第2波・第3波に備えた対応
~経済活動を委縮させず、医療提供体制の崩壊を防ぐためのご提言~
(講師)東北医科薬科大学   賀来 満夫 特任教授

7月2日(木)、7月8日(木)、7月21日(火)
〇提言取りまとめに向けて

別紙1

今後法改正も視野に検討すべき項目

1 新型インフルエンザ特措法

○ 必要な措置(休業を含む)の指示・要請の実効性の確保方策

○ 必要な感染防止対策を講じていただいた事業者の推奨方策

2 感染症法

○ 軽症者や無症状陽性者を宿泊所等に収容する場合の実効性確保方策

○ 保健所による感染者との連絡を確保するための方策

3 検疫法等

○ 入国後の待機や各種条件を遵守させるための方策

別紙2

第2波の流行に打ち勝つ強靱な政策こそ必要~政治は、「給付」、「給付」の次にある我が国の姿を国民に示さなければならない

2020-5-29

5月27日、歳出規模32兆円に上る、極めて大型の、令和2年度第2次補正予算が閣議決定され、6月8日からの週の予算委員会で審議の後、今国会中にも成立する見込みとなった。
内容は、6月30日までとされていた雇用調整助成金の限度額引き上げと支給期限の延長、事業者の固定費である家賃の補助、資金繰り対応の強化、地方創生臨時交付金の大幅拡充、持続化給付金の拡充など、新型コロナ

10万の病床準備と抗原検査の活用を提案した5月7日の会議。この時点では、その重要性を理解する方は余りいなかった。

との戦いが長期化することに備え、第1次補正予算での措置を強化するものとなっている。これらは、今回のコロナ禍で痛んだ方々に対する給付措置が中心となっている(バラマキという意見もある。)。
もっとも、新型コロナとの共生がさらに長期化し、売れ上げの減少や休業が例えば最悪2年間続いても、その穴埋めをしなければならないのかという疑問は残る。

これでは、まともに経済活動を回復させ、税金も納めている方から、「1億総公務員化政策」であると批判する場面も出てこよう。

やはり、第2波、第3波の流行があろうとも、経済の回復を止めず、一部の本当に大変な方には、適切な措置を講ずることは必要としても、多くの国民の1人1人が、自律的に豊かさを追求できるようにしていく政策こそが、政治に求められているのではないか。
その意味で、今回の補正予算には、今述べた給付措置等以外に、医療提供体制の大幅な充実や新たな生活様式への対応、予備費の積み増し等、新たな施策を講じるための予算も組まれている。
政府には、この予算を利用して、秋冬にも予想される第2波の流行があった場合でも、経済を縮小させなくても良い政策を大胆に進めていただくことを期待したい。

私は、5月14日の党政務調査会への意見具申や5月7日及び20日の新型コロナ対策本部会合において、累次にわたって具体的な意見を申し上げてきた。以下その一端を述べよう。

1 何故日本国民はコロナを恐れるのか

政府の施策の効果か、あるいは衛生面に気を配る国民性によるものか、その理由は今後検証してみる必要があるとしても、我が国は、今のところ、新型コロナ感染症による感染者数・死者数とも、諸外国と比べれば少ない水準で推移している。
しかし、国民が新型コロナ感染症に対して抱く恐怖感は、諸外国の水準よりもはるかに高いように思うのは、私だけではあるまい。
実際、発熱や咳の症状のある方とは、一定の距離を置く防衛策も取り得ようが、今回の新型コロナ感染症は、無症状の陽性者の中に、感染力を持つ方がいることが明らかになっており、防衛策がとれない現状にある。
このため、私たちは、家族、同僚、友人、その他の方々等々、家庭や職場、街頭や通勤、あるいは飲食店や繁華街で接触する全ての人たちを、「もしかしたら新型コロナ感染症に感染しているの」と疑って、恐れざるを得ない。だから8割の接触削減とか、営業自粛ということになる。
ここで、「無症状の陽性者」を判別することができれば、このような恐怖感は大いに減殺されるわけだ。
しかしながら現状では、「無症状の陽性者」に対するPCR検査は、症状のある陽性者の濃厚接触者以外はできない仕組みになっており、今後、もしも第2波の流行が訪れたときには、現行検査・医療の仕組みを維持すれば、再び経済が萎縮してしまうのは必至だ。

2 まずは医療提供体制の異次元の拡充が必要

それならば、国民全部がPCR検査を受けられるようにすれば良いという意見もある。
ただ、ことはそれほど単純ではない。
5月21日現在の数字だが、我が国には、新型コロナ感染症に対応する病床の数は、17,698しかない。ちなみに軽症者の入所を想定した、借り上げの宿泊施設の受け入れ可能室数は、19,430だが、これには289人しか収容されていない。
5月下旬には、感染者数の増加が大分落ち着いてきていたため、病床数の余裕が出てきたが、一時期は、逼迫一歩手前の状況になってしまったのはご案内のとおりだ。
4月並、あるいはそれ以上の第2波の流行が到来した場合に、PCR検査を希望者全員に行って、陽性者を病院ないし宿泊施設に収容させることとなれば、上の数字では足りないのは明らかだ。

だからこれまでのPCR検査を、症状があり医師が必要と認めた方に絞ってきたことにいて、私はことさらそれを非難するつもりはない。要は、これからが大切だ。そして、今後の検査の拡充のために重要なのは、まずは医療提供体制、わけても収容病床の異次元の拡充だ。

その中で、軽症者を収容するための宿泊施設をさらに確保しておけば良いという意見がある。ただ、私は反対だ。理由は大きく2つある。
第1に、宿泊施設は、陰圧換気等、感染者の滞在を前提として作られていない。また、医療機関ではないため感染者に措置入院を命ずることができず、自宅に帰ってしまう感染者もいると聞く。
第2に、第2波がきても、経済の回復を持続させることが政治の責任とすれば、当然、宿泊施設はしっかりと本業で稼働していただいていなければならない。宿泊施設に閑古鳥が鳴く状況が継続し、経済の萎縮が継続している状況を想定して、宿泊施設を想定した軽症者収容施設の確保を図るべきではない。

そこで私が、5月7日の新型コロナ感染症対策本部会合で提案したのが、「野戦病院」方式だ。その後もいろいろなとこで提案している。
すなわち、大型のテント、簡易の病床、医療機器を、少なくとも10万床確保(現状は1万8千)し、医療従事者の手当もしておけば、本年4月並、あるいはそれ以上の流行が我が国を襲ったとしても、十分な病床の確保ができ、PCR検査の数を増やしいていくことが可能になる。
設置場所は、国公立の都市公園等を想定すれば、いくらでもある。 現実に、米中は、野戦病院方式を実行に移した。

3 検査、特に「抗原検査」の抜本的拡充

このような病床数の確保(あるいは備蓄と言っても良いかも知れない。)を行えば、PCR検査数の数を、大幅に拡大することができる。
ただ、5月15日現在、PCR検査の可能数は1日2万2千件だ。これを10万件に拡大したとしても、日本人全員を検査するには、約4年弱かかってしまう。
PCR検査は、遺伝子検査であり時間も手間もかかるため、現実的には、まずは発熱や咳の症状が少しでもある方が検査を受けられるようにするということが基本だろう。
特に、秋冬には、普通の風邪や、インフルエンザも蔓延しやすいため、発熱や咳の症状が少しでもある方の数は極めて多くなり、PCR検査体制を抜本的に拡充したとしても、症状のある方だけで手一杯となる可能性があるからだ。

しかしそれだと、無症状の方、特に、無症状の陽性者を発見するすべがなくなってしまう。
そこで私が着目しているのは、5月に薬事承認された「抗原検査」だ(私たちが受けるインフルエンザの検査は、この抗原検査で、採血後15分程度での簡易の判定が可能)。
PCR検査、抗原検査のいずれも、「偽陰性」(実は陽性なのに陰性と判定されること)が検出されることが知られている。
巷間言われているのは、この偽陰性が、PCR検査の場合は5パーセント程度、抗原検査の場合は2割から1割程度検出されるそうで、抗原検査の方が精度が良くない。

それでも、効果がないかというと、全くそうではないようだ。
5月20日の予算委員会で、政府の専門家会議座長で、国立感染症研究所の脇田隆字所長が、次のような陳述を行っている。少し長くなるが、正確を期すため、引用してみよう。
「 PCRにつきましても、長所と短所があって、抗原検査についても、勿論そのようになります。
ですから、抗原検査の利点といいますのは、非常に短時間で診断ができるということですから、患者さんが検査のところにいらっしゃって、その場で検査ができる。これはインフルエンザの迅速診断と同じになります。
ですから、その方はすぐに診断されて、もし陽性であれば入院されるということになります。
一方で、感度がPCR検査ほど高くありませんので、陰性になった場合でも、その方が新型コロナに感染していないという証明にはなりませんので、PCR検査を実施するということになろうかと思います。
で、もう一つ抗原検査のよろしいところ、利点といいますと、やはり感度がPCRよりは低いわけですけれども、どうやらウィルス量の多い人が検出されますので、感染性が強い人が検出いると(ママ)、そういう方が早く診断されて病院に入院していただくと。それから濃厚接触者の探索につきましても、より感染性の高い方を早期に隔離ができる。
ですから、そういったところでの使い分けをしていくことになろうかと思います。」
この陳述は、主として症状のある方について、抗原検査とPCR検査をどのように使い分けるかという文脈で語られたわけだが、この陳述に基づけば、無症状の方に抗原検査を実施すれば、少なくとも感染性の強い無症状の陽性者を特定できるということになる。

現在抗原検査については、症状のある方について行い、その限りで保険適用となっている。だから、無症状の方が検査を受けることは、基本的にできない。

そこで、無症状の方については、保険適用を外して、一般の健康診断と同様に、希望する方全てが検査を受けられるようにすべきというのが私の意見だ。(発熱や咳などの症状のある方は、全てPCR検査に回っていることが前提だが。)量産化すれば1回千~2千円程度で検査が可能になるのではないか。それこそ国の支援次第だ。

このような政策を推進すれば、例えばある会社の社員全員(無症状)が抗原検査を受けるというケースが多くなると思う。
そして、無症状の陽性判定者に一定期間の自宅待機(健康状態によっては一定期間の入院。陽性判明後保険適用となるのは、健康診断や人間ドックと同じ。)をお願いすれば、出勤する社員の方々は、基本的には感染力が低いと推定できるわけで、具体的には、建設現場の肉体労働で、ことさらマスクをつける必要性が少なくなるなど、仕事での安心感は格段に高まる。
このように、PCR検査の抜本的拡充と並行して、抗原検査キットの量産化は、経済活動を行う上での安心を確保するために、極めて重要だ。
そして、第2次補正予算は、こういった前向きの施策に活用されるべきだし、このような、保険適用のない簡易検査の拡充については、よもや医師会も反対しずらいのではないかと思う。

4 おわりに

ところで、私の弟は、現在、都内のとある医大で、感染症(呼吸器内科)の教授を務め、新型コロナ感染症と、最前線で戦っている。
私は、党の会議等で発言をする前には、弟に、現場の実情を聞くようにしている。ただ彼は、エビデンスに基づく事実以外は、それほど多くは語らない。ある意味でプロの矜恃だろう。
今回のコラムで申し上げたことは、私が素人として考えたことで、弟の意見ではないことを断っておきたいが、医療現場の実情とかけ離れたことを申し上げているわけでもないと考えている。

さて私は、5月7日の党の新型コロナ対策会議で初めて、①「野戦病院備蓄」10万床構想、②「抗原検査」の積極活用を提案した。ただ、そんな意見を言ったのは私1人だった。
その他の議員は、「もっと給付を増やせ」、「百兆円ばらまけ」などの大合唱。

 

彼らの意見を否定するわけではないが、今私は、自民党の若手と称する人たちが、自分の選挙だけでなく、本当に日本の将来を考えているのか、いささか複雑な気持ちになっている。「売り上げが減れば粗利保証」を叫べは選挙には有利だろう。でも、第2波、第3波の流行が来たときも、同じようにできるのか。冒頭述べたように、私たちは、「1億総公務員化」の道を歩いてはいけないのだ。災害に強いだけでなく感染症にも強い強靱な日本を創るという気概こそが、政治に求められているのではないか。

いずれにせよ、新型コロナ感染症の新規感染者数がある程度落ち着いている今という時期が大切だ。それでも救いなのは、最初は突拍子もないとみられていた私のアイディアが、5月下旬の最近になって、財務省や厚労省の役人の中で、ようやく理解が広まりつつあることだ。捨てたのではない。私は、あきらめずに、引き続き活動を続けていく。

その上で、たとえ秋口に第2波の流行が訪れたとしても、緊急事態宣言を発しなくても良いようにするためには何をすべきか、さらに、経済を萎縮させず、その回復基調を継続させるためには何をすべきかを真剣に考え、大胆に実行に移していくこと。このことこそが、政治の責任だと思う。

緊急事態宣言下での政策提案活動~サプライチェーンリスクに関するWTの活動

2020-5-3

4月7日、新型コロナウィルス感染症蔓延防止のため、「緊急事態宣言」が発出された。
これに伴い、国会の活動も、本会議は、採決以外は半数の議員のみの出席、委員会も、回数を絞り込みながら、大きな部屋で、1人おきに席に着くなど、所要の対応がとられている。
勿論、出席者全員マスク着用だ。

党本部の会議も、新型コロナ対策に関する緊急な会議以外は、原則会議は行わないこととされ、丁々発止の議論は、なかなか行うことができない事態に立ち至っている。
ただ、だからといって、私たち国会議員の政策提言活動がおろそかになるのは、あってはならないことだ。
そこで私が行ったのは、リモート会議システムを利用した有識者ヒアリングだ。

私は現在、自民党の情報通信戦略調査会(会長・山口俊一元IT大臣)に置かれた「サプライチェーンリスクに関するワーキングチーム」の座長をしている。
今、情報通信の機器やソフトのサプライチェーンは、ハード、ソフトの両面で、情報流出の危機にさらされている。
それだけでなく、このような機器やソフトを提供する特定の国や企業が、積極的に他国や他人の情報を収集しようとしていることも懸念されている。
安全保障の面からは勿論のこと、個人情報保護の観点からも、極めて大きな問題だ。
例えば、今回のコロナ禍の中で、リモート会議ソフトとして有名なZOOMが、爆発的な需要の拡大を見せているが、この春に、中国のサーバーを利用したことから、中国政府に情報を抜かれることも危惧されているという。
このため、米国上院やインド政府の公務員は、現在、ZOOMの使用を抑制しているということだ。

ことほど左様に、情報通信分野におけるサプライチェーンリスクの問題は、新型コロナ禍の中、テレワークシステムの急拡大が求められる今だからこそ求められるものでもあるし、ポストコロナのデジタル社会の到来を見据えれば、より抜本的な対策が必要ということができる。

このため、私のワーキングチームでは、直近では4月27日と5月1日の2回にわたり、それぞれ3人の有識者の先生からヒアリングを行わせていただいた。
現段階では、ヒアリング内容の全てを紹介することはできないが、資料も、あらかじめメールでいただき、活用させていただいた(写真参照)。
私自身は、4月27日こそ会館からの参加だったが、5月1日は自宅からの参加で、文字通りリモート会議となった。
緊急事態宣言の延長も取りざたされる今、リモート会議のシステムなどもさらに活用しつつ、早ければ6月上旬には、しっかりした提言をとりまとめていきたいと考えている。

自民党新型コロナウィルス感染症対策本部での発言内容

2020-4-13

 新型コロナウイルス感染症が、世界的に猛威を振るっている。
4月上旬までに、全世界の感染者が150万人を突破し、死者が10万人を超えるという状況を、新型コロナウィルスの中国での感染拡大が報じられた3ヶ月前、誰が想像できただろうか。
自民党は、新型コロナウィルス関連肺炎対策本部を設置、蔓延対策や経済対策について、議論が行われ、私自身も、予算委員会や法務委員会が開催されない限り(いずれの委員会も理事を務めているため、欠席することができない)、積極的に参画して、毎回発言するようにしてきた。
以下、時系列を追って、私の発言内容を紹介することとしよう。

3月2日 対策本部会議
議題 新型インフルエンザ等特別措置法の対象に、今回の、中国由来の新型コロナウィルス感染症を加えること

私の発言内容
現在でも、行動の自粛要請等は行われているわけで、休業も、外出の自粛も、この法律改正を行わなくても、要請自体は可能だ。この法律改正を行う意味があるとすれば、この法律に基づく休業要請には、相当の補償を行うというように、考え方ををしっかり整理しておく必要があるのではないか(政府からは、残念ながら、明確な返答はなかった)。

3月10日 対策本部会議
議題 新型コロナウィルス感染症の蔓延への対策について

私の発言内容
マスクの不足が全国的に問題となっている。ただ、いくら増産しても月6億枚ということでは、不織布マスクを毎日1枚使うことができる人数は、2000万人に過ぎず、国民全体に行き渡るはずがない。
政府は、医療福祉関係や食品製造等毎日マスクが必要な人がどれくらい、何日か使い回す人はどれくらい、マスクをつけなくても良い人はどういう人たちといったように、マスクの装着基準を明確に示すべきではないか。

3月19日 対策本部会議
議題 新型コロナウィルス感染症の影響に関するヒアリング(建設、トラック等)

私の発言内容
感染症の拡大抑止対策と経済対策は、ある意味で矛盾している。前者は経済活動の抑制を、後者は経済活動の活性化を求めるものだからだ。だから、まずは拡大を抑制し、しかる後に経済対策ということになる。そして今が感染拡大抑止の時期であることはいうまでもない。
ただ、感染拡大抑止といっても、一般的な活動自粛要請は、ずるい方法と言われてもいたしかたない。例えば、建設現場で作業員がマスクなしで作業するのはいいのか、悪いのか、事業者の判断のみに委ねるのは、さすがに事業者に酷だ。
感染拡大抑止のため、何はしても良いのか、何はすべきでないのか、具体的に示し、それで損失を被った方には、相応の面倒を見るような具体的なメッセージを出すよう、党としても政府に申し入れるようお願いしたい。

3月24日 対策本部会議
議題 新型コロナウィルス感染症の影響に関するヒアリング(医療、介護、保育、幼稚園等)

私の発言内容
今現場で、衛生用品、特にマスクが不足しているというお話を伺った。また、介護、幼稚園、保育園等には、布マスクを配布されるという。
ただ、今回の新型コロナの問題がここまで大きくなる以前、確かテレビ等で、「布マスクは感染予防にあまり役に立たない」という報道がなされたことを記憶している。布マスクを配布する以上、布マスクが、具体的にどのように効果があるのか、公的な見解をしっかりと示さなければ、布マスクが配布される施設にとっては不安だと思う。しっかりした対処をお願いしたい。
(その後、4月に入り、政府は、国民1世帯あたり2枚の布マスク配布を発表)

3月31日 経済成長戦略本部・対策本部合同会議
議題 新型コロナウィルス感染症に係る経済対策に関する党の提言

私の発言内容
① 今回の経済対策は、とにかく規模感とスピード感が大切。
② 消費税を引き下げるべきという意見もある。もとより議論するなとは言わないが、今、消費をいかに増やすかを議論しても、お金を使う人はいない。いずれにせよ次の段階の話ではないか。
③ 「お肉券」や「お魚券」が面白おかしく取り上げられ、さすがに対策には盛り込まれなかった。その一方で、特に和牛などは、消費が大きく落ち込み、倉庫がいっぱいの状況になっているそうだ。さらに、学童も、学校が休校になり、ストレスが非常にたまっている。4月からは再開する学校もあるかと思うので、和牛のすき焼きをタダで。学童の給食として振る舞うなど、子供たちに明るい話題を提供する施策も大切ではないか。

4月3日 税制調査会(コロナ対策関連)
議題 新型コロナ感染症対策に係る税制

私の発言内容
① 発言されるときにマスクを外される議員もいらっしゃるが、マスクは飛沫を飛ばさないためにつけるものでもあり、皆で気をつけよう。
② 消費税のことが大綱案に書かれていないことに不満の声もあったが、先の会議でも述べたが、今は消費税のことを議論すべきステージではない。
③ 新型コロナ対策の税制は、業種を限らず、幅広く恩恵を被ることができるようにすべき。例えば、テレワーク減税で用いようとしている中小企業経営強化法のスキームは、今大変な危機に陥っている劇場やイベント業などは対象になっていない。政令などを改正してしっかり対応すべき。

4月6日 政調全体会議
議題 新型コロナウィルス感染症に関する政府の経済対策

私の発言内容
① 経済対策の中に盛り込まれた「布マスク2枚の配布」や、「収入が急減した一定の要件を満たす世帯への30万円の給付」について、特に後者についてはその要件を緩和すべきという思いはあるものの、各方面の調整を経ているのだろうから、私は敢えて反対はしない。
しかし、配布や給付にスピード感を欠いたり、窓口で混乱を来したりすることとなれば、それは政治に対する信頼を決定的に毀損することになる。市町村の窓口だけに任せていたら、恐らくは大混乱だ。
例えば税務署の職員を応援に貼り付けるとか、プッシュ型の運用体制の強化を図るなど、役所の垣根を取り払った異次元の措置をとるべきではないか。
② 政府が、中小企業を支援する、雇用を守るというメッセージはある程度読み取ることができる。
しかし、医療の現場は、特に院内感染を出してしまった病院、市中のクリニックなど、経営面でも逼迫しているところが少なくない。経営面での支援がなければ、医療提供体制の強化といっても、絵に描いた餅になってしまう。
また、感染症にとどまらず、一般の医療現場も疲弊している。検査が一向に進んでいないにもかかわらず、新型コロナでない肺炎患者の入院も多く、逼迫している状況だ。
これら医療従事者に対する特別の手当なども考えるべきではないのか。

衆議院本会議で令和2年度総予算案の賛成討論(R2.2.29)

2020-2-29

2月28日の衆議院本会議で、私は、自由民主党を代表して、令和2年度総予算案の賛成討論を行い、その後、予算案は自民、公明などの賛成多数で可決され、憲法の規定により、年度内の成立が確実になった。私にとって、総予算案の賛成討論は、平成29年度総予算案に続き、2回目となる。今回のコラムでは、次に、その全文を掲載する。

自由民主党・無所属の会の葉梨康弘です。
私は、令和二年度一般会計予算案ほか2案について、賛成の討論を行います。

冒頭、今般の新型コロナウィルス感染症によりお亡くなりになられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げ、討論に入ります。

まず、予算委員会で議論となったいくつかの論点について申し述べます。
はじめに、冒頭述べた感染症問題です。
足下の状況を見ると、国内の複数地域の感染が確認され、国民の間に不安が広がるとともに、我が国経済にも深刻な影響が見られつつあります。

事態の早期終息のためには、今がまさに正念場です。
政府は、昨日、総理のリーダーシップにより、全国の小中高等学校に臨時休校を要請することを決定しましたが、これは、総力を挙げて感染拡大防止に取り組む、我が国の強い姿勢を内外に示すこととなりました。

政府は、今後も、水際対策の更なる強化、国内の検査、相談、医療提供体制の充実・拡大のほか、国民の不安をしっかりと受け止め、生活への影響にも配慮しつつ、国民の命と健康を守るための異次元の対策を進めるとともに、「新型コロナウィルス感染症」という、新たな経済の下振れリスクに対し、的確な対応を行っていく必要があります。
3月末までは、令和元年度予算の予備費2700億円の残額を活用し、順次必要な対応を迅速に実施していくこととなりますが、4月以降は、本予算案に盛り込まれた感染症対策費や経済対策予算を早期に執行し、効果的な対策を実行することが求められます。だからこそ、本予算案の早期成立を強く求めます。

また、総理主催の「桜を見る会」についての議論がありました。
私はかつて、公職選挙法違反事件等の捜査指揮に当たったことがありますが、いわゆる前夜祭に関する質疑を聞く限り、違法性があるとは思えませんでした。
そして、「桜を見る会」については、総理自身が、招待基準が曖昧で、招待人数が増大したことについての反省を表明し、今後の改善を約束されています。
立法府には、今後政府において検討される、招待基準やその透明性、文書管理のあり方を適切にチェックしていくことこそ求められますが、予算審議を引き延ばす理由とならないことは明らかです。

さらに、東京高検検事長の定年延長についての議論がありました。
検察官の定年延長が国家公務員法に違反しているか否かという点について、人事院は、委員会で、一貫して、「特別法である検察庁法の解釈として、法務省において整理されるべき」と答弁しており、法務省が解釈を整理した上で行った閣議請議の適法性は明白であり、予算審議を引き延ばす理由とならないことは明らかです。

次に、本予算案に賛成する理由を申し述べます。
これまでの7年余、我が国は、安倍政権の下、経済再生と財政健全化を推し進め、大きな成果を上げてきました。
国内総生産は、名目・実質ともに過去最大規模に達し、株価も政権交代前の倍以上に上昇、雇用も大幅に改善しました。
また、このような経済成長による税収増により、毎年の国の借金は12兆円減り、財政健全化も着実に進めてきました。
こうした中、令和二年度予算は、今後も経済再生と財政健全化を両立させるという安倍政権の方針を具体化したものになっていると考えます。

以下3点申し上げます。

第1は、我が国が直面する構造的問題である人口減少・少子高齢化に対処するため、全世代型社会保障実現のための施策を盛り込むなど、国家国民のために実行すべき施策をしっかりと盛り込んでいる点です。

これにより、例えば、一定の世帯についての高等教育の無償化など、今まで高等教育に進むことをあきらめていた子供たちが、夢を持つことができる施策が推進されることとなります。

第2は、財政再建にも配慮した予算となっている点です。
令和二年度予算案における公債発行額は、税収見込みの増を反映し、当初予算ベースで8年連続縮減となり、財政健全化の歩みを進める予算案となっています。

第3は、様々な経済の下振れリスクを乗り越えるために必要な措置を講じている点です。
昨年決定された総合経済対策では、「15か月予算」の考え方のもと、令和元年度の予備費、補正予算、そして令和2年度予算の「臨時・特別の措置」を組み合わせ、機動的かつ万全の対策を行い、持続的な経済成長の実現を図ることとされていますが、本予算案は、これを着実に実行するものとなっています。
今私たちは、「新型コロナウィルス感染症」という、新たな経済の下振れリスクに直面しています。今後の推移によっては、勿論、更なる機動的経済対策を講じることも必要でしょう。
その上で、現在、私たち国会議員にできることは、まずは本予算案を早期に成立させ、予算執行をできるだけ前倒しすることにより、「新型コロナウィルス感染症」を含む様々な経済の下振れリスクに、的確に対処することではないでしょうか。

以上、本予算案に賛成する理由を申し述べました。議員各位のご賛同を賜りますことを強くお願い申し上げ、私の賛成討論と致します。

 

 

 

水田農業の今後~高収益化が必須の課題(R1.12.29)

2019-12-29

令和元年12月20日、令和2年度予算が閣議決定された。
その中で、新規の施策として、「水田農業の高収益化の推進」という新規項目が盛り込まれた。
これは、水田農業の規模拡大を推し進める一方で、水田地帯の農村にも、施設園芸やレンコンなど、高収益作物による営農活動を奨励し、水田地帯であっても、農業に従事する人口を減少させないようにする施策だ。
これは、この夏の概算要求前に、私自身が、農林役員会等の場で提案し、新たに予算化したものだ。
このような施策を推進しなければならなくなった背景には、米作だけでは、農家が収入を得られなくなってきたという事情がある。

(農家はどれくらいの水田を耕作すれば食べていけるか)
我が国の高度成長が始まる以前は、我が国の農家数550~600万戸という数字は、ほぼ変わることはなかった。 農家の多くは水田農家で、当時、1戸当たりの平均作付け面積は、1.1ヘクタール程度、半数は専業農家だった。
ただ、かつては、まあそれでも食べていけた。
今から約60年前の昭和34年、玄米60キロ(1俵)の政府買い取り価格は3,886円(玄米3等)だった。(当時は、食糧管理法により、政府が米を全量買い入れていた。)
ちなみにこの年の大卒初任給は11,297円で、現在(平成30年)の210,200円に置き換えると、貨幣価値は18.6分の1という計算になるので、当時の米1俵の値段は、72,280円に相当することになる。(平成30年の米1俵の値段は全銘柄平均で15,716円)
米がいかに高級品であったかが分かる。
そして、全国平均で、米は10アール当たり8俵とれるので、昭和34年当時の水田農家は、1.1ヘクタール耕作すれば636万円の売上げで、利益を半分程度とみても月27万円の所得、これに裏作等の収益や場合によっては兼業収入を加えれば、まあ食べていけた。

(水田農家の利益の縮小)
ただ、水田農家の懐具合は、平成に入り急激に寂しくなる。
バブル経済が崩壊した平成2年、米価は1俵当たり21,600円、大卒初任給は約17万円だった。
先に述べた平成30年の数字と比べると、平成の時代、米価が約3割下落した一方、給与は、約1.24倍になった。
ざっくり言えば、コストの方は上がっているが、売り上げの方は下がっているということで、水田農家の利益は、大幅に縮小することとなった。(昭和末期から平成初めにかけて、食糧管理法による生産者米価の算定が見直され、さらに平成7年に同法自体が廃止されたことも影響していると思われる。)
例えば、平成2年当時、コスト(物件費)1万800円、農家の人件費(所得)1万800円と計算されていたと仮定し、平成30ねんまでに、コストが大卒初任給の上昇程度に値上がりしたと想定すれば、平成30年のコストは1万3392円となるので、平成30年における農家の所得は、米1俵当たり2,324円と、平成2年の1万800円と比べると、大幅に減少してしまう計算だ。
このように、米の売り上げに農家の所得が占める率は、最近急激に低下し、水田農家が、米作専業で、他産業並の所得を得るためには、1戸で約20ヘクタール耕作しなければならないと言われるまでになってきている。

(水田地帯から農家がいなくなることを防がなければ)
米価下落の理由は、米の消費の低迷にあるわけだが、農政サイドでも、ある程度の米価安定策は講じてきた。
平成30年の15,716円という価格は、詳しくは述べないが、飼料用米など各種の施策の組み合わせで保たれている価格であると言っていえなくもない。ただいずれにせよ、かつてのような水準に米価を引き上げることは不可能だ。
平均的に見ると、米作地帯の農村が余り元気がないのは、こういった理由による。
実際、戦後すぐの時期には、60ヘクタールの水田があれば、55戸の集落が生活できた。しかし今は、3戸の担い手に水田の耕作を集中すれば、当該3戸は農業で食べていけるが、後の52戸はどうするのか。
農村機能自体が崩壊してしまったら、担い手の皆さんにしたって、生活はやっていけまい。
そこで冒頭述べた、「水田農業の高収益化の推進」ということになるわけだ。
例えば、水田地帯であっても、施設園芸(花き、いちご等々)であれば、少ない面積で売り上げをあげることができる。レンコンなども同様だ。
私が提案したのは、60ヘクタールの水田があれば、例えば40ヘクタールを2戸の担い手に集約し、残りの20ヘクタールを高収益作物に転換、その場合の施設整備や土地改良等には公的な手厚い支援を行い、数十戸を農家として、農村に定着させようという計画だ。
もとより、作付ける作物の種類や営農のあり方は、地域によって様々と思うが、このような取り組みが、地域の実情に応じて、全国に広がっていくことを期待したい。

法務委員長としての議事整理(H31.3.13)

2019-3-13

平成23年3月11日、東日本は、未曽有の震災を経験した。私の住む茨城県も、水戸市で震度6弱、地震保険の支払い額は、福島県のそれに匹敵するなど、甚大な被害を被った(写真は、震災で使用不能となり、建て替えを余儀なくされた水戸市役所。水戸法務庁舎も同様に損壊し、その意味で全壊と評価できる。)。8周年を機に、全ての犠牲者、被災者の方々に、心からの哀悼の意を表し、お見舞いを申し上げたい。

さて、本日の報道を見ると、3月8日の法務委員会の私の発言について、野党の皆さんが、私への解任決議の提出も検討するという物騒な話が出ているらしい。この日、野党の某議員が、「水戸法務庁舎の建て替えは通常予算(震災被害とは関係のない本予算)の中で堂々とやるべきもので、復興特別会計が使われるのは問題だ。」と質問された。私は、その発言が終わった後、答弁者である法務大臣を指名する前の短い間に、「茨城県も被災県、水戸庁舎は地震で全壊」という事実を申し上げた。これは、被災者感情にも配意しつつ、事実に基づく質疑・答弁を行って頂くための議事整理の一環として発言したものだ。この点については、質問妨害でもなく、当たり前のことと思う。委員長は、自分の思いでなく、事実に基づく質疑を促す姿勢が重要だ。

もっとも、その後の私の発言については、いささか反省している部分もある。某議員が、「先の発言は不規則発言です。」と発言したことに反論してしまったことだ。単に「先の発言は議事整理権に基づく発言です。」と言っておけば良いところを、「茨城県選出として、事実関係を申し上げます。水戸庁舎は後回しになった思いがあります。」など、茨城県選出議員としての思いを述べたことについては、ちょっと大人げなかったかなという気もする。この発言については、撤回することはやぶさかでないし、委員長の発言という意味で、不適切と言われても仕方ないと思っている。

そして、この点については、3月12日の理事懇談会で某議員等から問題を提起され、その場で、私が某議員に反論した不適切な発言については、謝罪・撤回する用意があることを申し上げた次第だ。

ただ、それ以外の、「茨城が被災県であり、水戸法務庁舎が全壊した」という事実(意見ではない)を質疑のために示した発言については、謝罪も撤回もする必要はない。

私も、発言中の不適切な部分については撤回・お詫びするつもりだが、それ以上のものではない。

改正入管法が成立

2018-12-30

私は、平成30年10月26日に召集された臨時国会で、衆議院法務委員長に選任された。
実は平成28年の通常国会でも同じく法務委員長を務めているので、2年振り、2回目の登板となる。これは、異例のことだ。
今回の臨時国会では、新たに、即戦力となる外国人材を受け入れることを内容とする改正入管法が法務委員会で審議されることとなっており、マスコミなど世間の関心も高く、臨時国会の会期(12月10日まで)内成立を危ぶむ声もあった。
私は、この法案の審理の責任者として汗をかくこととなったが、国会での審理のみならず、法案の与党審査、さらにその後の政府基本方針等の与党審査でも議論をリードしていかなければならず、かなりの労力と時間を割くこととなった。

(人手不足の深刻化)
さて、現在我が国は、本格的な人口減少社会を迎えている。
それに伴い、各地で、人手不足が深刻化し、仕事はあっても、人手不足ゆえの企業倒産が多発している。
15歳から64歳までの、いわゆる生産年齢人口は、1990年代半ばまでは、全人口の70%以上を占めていたが、2018(平成30)年には、60%を割り込むまで減少してしまった。
このため、政府においても、女性の社会進出を促したり、高齢者の方々にも生涯現役として働いて頂く施策を講じたり、AIやロボットなどのイノベーションに取り組んでいるわけだが、それでもなお、特に地方を中心に、仕事の担い手がいない現状は解消していない。
改正入管法は、外国人材の受け入れ枠を多少広げ、深刻化する人手不足に対応していこうとするものだ。
すなわち、我が国では既に、専門性の高い人材や、技能実習生、留学生などの形で、約130万人の外国人の方が活動しているが、これに、今後5年間で最大30万人程度の外国人材の受け入れ拡大を図ることを内容としている。

(「単純労働者」でも「移民」でもない)
私は、今回の外国人材受け入れ枠の拡大だけで、現在の人手不足の状況を全て解消できるとは考えていない。
また、今回の改正が、我が国の入国管理政策の根幹を変えるものとも思っていない。
その理由は2つある。

第1に、今回の改正は、いわゆる「単純労働者」の受け入れではないと言うことだ。
「単純労働」の定義はなかなか難しいが、まあ、「その国における義務教育を修了した者がすぐに従事できる労働」といったイメージで考えてみよう。
今回の外国人材には、日常生活に不自由がない程度の日本語能力が求められ、試験にも合格しなければならない。「日本語」は多分その国では第2外国語程度の位置づけだろうから、義務教育終了後何らかのトレーニングを受けなければ合格は無理だろう。
これに加えて、一定の技能・経験を有することについての試験に合格することが必要で、技能実習生の場合は3年間のその分野における実務を無事に済ませていることが求められる。
それだけの人材が本当に集まるかどうかは別として、結構ハードルは高い。

第2は、「移民政策」とは異なると言うことだ。
「移民」の定義も、非常に多義的だが、私自身は、家族で暮らすことが1つの大きな要素であると思う。
在留期間に制限を設けたとしても、家族での移住の場合、「不法移民」が多く発生しやすくなる。
今回の制度では、最長5年の在留期間を設定し、基本的に家族帯同は認めないこととなっており、いわゆる「移民政策」とは趣きを異にする。
もっとも、家族帯同を認めないことについては、賛否両論あることは承知している。

以上2つの問題については、さらに国民的議論が必要と思う。
ただ、今回の改正法は、深刻化する人手不足の問題に一定の対処を行うものであり、緊急の対処で必要ということで提案されたもので、外国人労働者やその家族にどう向き合うかという国民的議論は、別途進めていくことが必要と思う。

(国会審議)
入管法の改正については、マスコミでも、「今国会の目玉」、「国の形が変わる」等々、大きく報道されたこともあって、野党の皆さんは、早々と、「臨時国会での成立阻止」という方針を打ち出した。
それでも、11月2日の改正法案の国会提出後、11月13日の火曜日には、衆議院本会議で安倍総理出席の下、趣旨説明質疑が行われ、ようやく審議入りということになった。
通常、本会議での質疑後は、速やかに委員会での審議が行われるが、野党の皆さんとなかなか合意できなかったため、さすがに、本会議質疑の翌週に審議入りではまずかろうと、私が、委員長職権により、11月16日の金曜日に審議入りを決定した。
しかし、11月16日の審議入りの直前、私に対する委員長解任決議案が提出され、11月16日と20日の定例日(法務委員会の定例日は火水金)の委員会審議ができなくなってしまった。
11月20日の本会議で私の解任決議案が否決された後、委員会での審議入りができたのが、ようやく11月21日だった。
そして、解任決議処理で定例日審議が2日間できなくなっていたため、やむを得ず、定例日外ではあるが、11月22日と26日にも、委員会を開会した。

委員会の審議内容は、私のホームページにもアップしてあるが、野党の皆さんの質問は、失踪した技能実習生の失踪動機について法務省の集計ミスが明らかになったこともあり、例えば、「失踪した技能実習生の多くが、劣悪な環境の下に置かれているのではないか。」「3年間の技能実習を終えた方に新たな在留資格を与える今回の法案は、崩れた土台の上に家を建てるものではないか。」等々の内容だった。

確かに、不当な取り扱いを受けた失踪技能実習生の問題は大きな問題だし、法務省の集計ミスも重大な問題だ。このことの分析は、今後の技能実習制度の改善に役立てていかなければならない。
ただ、今回の制度で新たな在留資格を得ることができる技能実習生は、3年間無事に技能実習を修了し、その後も日本での就労を希望する方に限定され、失踪技能実習生は対象にはなり得ない。
しかも、新たな在留資格は、同じ業種であれば雇い主を変えることも可能で、実習場所が固定され、従って「失踪」という概念がある技能実習とは、全く別のものだ。

以上のような質疑の方向性を見極め、採決の環境は整ったと判断できたので、11月27日、委員会採決を行い、法案は衆議院を通過した。

これまで大まかに、改正法の内容と国会審議の概要を述べたが、さらに詳細な内容については、今後、このコラムでも、折に触れて述べてみようと思う。

農村の疲弊にどう対処するか~水田農業を中心として

2018-8-23

 

注)このコラムは、平成28年、国政報告用冊子のために作成した小文の1部を、今回改めて、ホームページにアップするものです。

この数十年の間、「東京一極集中」は著しく進み、最近では、地方都市を中心に、「消滅可能性」が語られるようになっています。そして、地方の主力産業である農業は、就業者の高齢化(平均年齢68歳)が進み、TPP協定の交渉が大筋合意を見たこともあり、先行きへの不安が広がっています(その後、トランプ政権の誕生で米国が離脱、TPP協定は、米国を除く11カ国で再締結。)。
私は、自由民主党の畜産酪農対策小委員長や農林水産戦略調査会副会長などを歴任し、長く農政問題に携わってきましたが、水田農業の問題を中心に、農業の将来について、私のこれまでの取り組みと今後なすべきことについて述べてみたいと思います。

1 TPP協定の発効は米農家にほとんど影響はない

平成27年のTPP(環太平洋パートナーシップ)協定の大筋合意により、一部に、「米国や豪州から安いコメが自由に入ってくるようになり、日本の米作は壊滅する」といった不安があるようですが、この認識は、正確ではありません。
確かに、TPP協定の完全発効後、わが国には、10数万トンを限度として、米国産や豪州産の主食用米が入ってくることとなりますが、これにより、米価が下落するわけではありません。
現在政府は、輸入された米国・豪州産米と同量の日本産の主食用米を備蓄米として買い付け、3年間備蓄した後、家畜の餌となる飼料用米として処理することとしています。
このような措置により、主食用米としてわが国の市場に出回るコメの総量は、TPP協定発効前と変わらないことになります。
もっとも問題は、TPP協定があろうがなかろうが、米価が下落基調にあり、米作農家の体力が、既に相当弱ってきているということです。

2 日本のコメは余っているのか足りないのか
私は、平成19年、自民党の畜産・酪農対策小委員長当時、飼料用米の転作作物としての普及を提唱しました。
その後平成26年から、その政策が漸く本格化し、現在に至っていますが、当時私が考えたことは、いったい日本のコメは、余っているのか、足りないのかということでした。

(コメは余っている~需給バランスの観点)

需給バランスの上では、日本のコメは、余っています。

長期低落傾向にある米価

昨年、日本人のコメ消費量は1人一俵(60 ㎏)弱の約750万トンでした(一日換算で一合弱)。
これに対し、わが国の水田面積は、あぜ道や水路を除くと約240万ヘクタールで、その水田で全て主食用米を生産すれば、10アール500㎏計算で、約1200万トンの生産が見込まれます。
750万トンの消費に対し1200万トンの生産ですから、当然市場価格は暴落します。
このため、従来、計画生産すなわち減反政策がとられてきたわけですが、過剰作付けの問題を決することができず、米価は長期下落傾向で推移し、流通経費約2千円を引くと、農家の手取りが1俵1万円を割り込む年も出てきました。

(コメは足りない~安全保障の観点)

しかし、世界の人口増や異常気象で、海外からの食料が確保しにくくなった場合、日本のコメは、圧倒的に足りません。
明治時代、わが国は、コメを主食とし、ほぼ、食糧自給率100%(カロリーベース)を達成していました。この時代(1890年頃)の1人当たりのコメの消費量は約1石(150kg)で、一日約1500㎉の熱量をコメから摂取していました。
すなわち、食料自給率100%達成のためには、1億2000万人の人口に対し、約1800万トンのコメが必要という計算になります。わが国のコメの生産力は1200万トンですから、これではとても足りません。

3 多収穫米での転作~飼料用米などの本格普及へ
そこで私が提唱したのは、飼料用米(多収穫米)の普及という政策でした。

(「需要」はある)
先述のように、主食用米の需要は、減少傾向にあります。ただ、わが国は、世界有数の穀物輸入国でもあります。
すなわち、わが国は、製パン用の小麦を約600万トン、家畜の餌用のトウモロコシを約1000万トン輸入しています。コメをこれに代替できれば、「需要」はあるわけです。

(多収穫米の研究は進んでいる)                                                      
さらに、多収穫米の研究も、実用レベルまで進んでいます。品種によっては、10アール当たり1トン収穫可能ということです。
現実的には、種籾の直蒔きで10アール700~800㎏の収量というところでしょうか。そして、この種の種籾の確保ができれば、わが国のコメの潜在生産力は、一挙に1800万トン程度をクリアーすることとなります。

 

 

(水田の畑地化には限界がある)
さらに、今までの転作では、水田を畑地化し、麦や大豆を作付けしてきましたが、畑地化が向かない水田もあります。

 

 茨城県南に広がる広大な水田は、かつては香取の海と言われた海跡湖と、それを取り巻く沼沢地でした(上が約千年前の茨城・千葉県境付近の地図)。
これを、江戸時代初期の利根川東遷の大土木工事や新田開発等により水田としたわけですが、いかんせん水はけが悪く、しかも麦(乾燥地帯の植物)などは収穫時期が梅雨と重なります。水田を畑地化せず、水田として多収穫米を作付けすれば、このようなミスマッチから解放されることになります。
ここまで述べると、飼料用米(多収穫米)の普及は良いことずくめのように見えますが、問題もあります。
多額の補助金(税金)が必要になるということです。

4 飼料用米による米価安定の仕組みと今後
(多額の補助金)
飼料用米は、海外からのトウモロコシの代替ですので、現在、トウモロコシと同額の1㎏20円で引き取られています。
ですから、10アール当たり800㎏を収穫しても、売り上げは16000円にしかなりません。その普及を図るため、私たちは、最大10万5千円の補助金を支払うことにしました。

(米価安定の仕組み)
飼料用米は、わが国が毎年1000万トン輸入しているトウモロコシの代替ですから、需要はいくらでもあります。このため、10アール当たりの売り上げは、補助金も込みで約12万1000円です。
農家は、その年主食用米を栽培した場合の売り上げが、飼料用米のそれを上回ると考えれば主食用米を、下回ると考えれば飼料用米を栽培しますから、コメ農家の10アール当たりの売り上げは、11万6000円に収れんしてきます。
主食用米は10アールあたり8~9俵とれますから、主食用米の米価は、一俵約1万3500円(9俵とれた場合)が基準となってきます。

(補助金を合理化する工夫が必要)
ただ、1アール当たり10万円という補助金は、他の転作作物(最高でも8万円)に比べても高すぎると指摘されています。
将来補助金が8万円になっても、同じ売り上げを確保するためには、1kg20円の品代を、50円程度(補助金8万円の場合、10アール当たりの売り上げは12万円)に上げていくことが必要です。
そこで、私は、コメを豚に給餌した場合、脂の融点が人間の体温以下に下がることに着目しました。豚肉を口に入れた場合、とろけるような食感になるそうです。
平成28年の予算で、飼料用米を与えた豚のブランド化を図る事業が始まりました。このようなブランド豚が高く売れれば、品代を上げていくことが可能になります。
このほか、多収穫米をアミロース化すれば、グルテンを加えなくても製パンように使用可能な技術を活用し、1kg50円程度で製パン会社に引き取ってもらう方策についても検討しています。

5 農村の活性化をどのように図っていくか
このように、飼料用米を初めとした多収穫米普及の政策が確立されれば、食糧安全保障の問題をクリアーできるだけでなく、米価をリーズナブルなラインで安定させ、農家の安心を確保することが可能となります。
コメ農家が、将来にわたってやっていけるという見通しが立てば、後継者の確保もしやすくなるでしょう。
ただ、問題もあります。
先に、10アール当たり12万円の売上と述べましたが、物材費のコストを除くと、所得は2万円程度です。ですから、農業所得で年400万円の所得を確保するためには、20ヘクタールの水田を耕作しなければなりません。
戦後の農地解放当時、農家一戸当たりの耕地面積は1ヘクタールで、40ヘクタールの水田に対応して、40戸の集落がありました。
でも今や、水田農業に携わるのは2戸のみで良い時代となりました。後の38戸はどうすれば良いのか、これが現在喫緊の課題です。
地方の活性化、農村の活性化のためには、産業政策としての農業政策以外の政策が求められます。
それが、「一億総活躍社会の実現」と並ぶ大きな柱である「地方創生」です。
新たな起業を後押しし、地方においてもIoT(モノのインターネット)等のインフラを整備するなどして、地方における雇用を創出していかなければなりません。
私は、平成29年、自民党の総務部会長(地方の活性化や情報通信を担当)に就任しました。
この経験をいかし、今後更に、地方創生の施策にも積極的に関与していく考えです。

森友学園問題とは何だったのか(中編)~喚問者葉梨康弘が語る事件の舞台裏~

2017-9-28

 

(はじめに)

前編(6月に新聞折り込み)では、籠池氏に対する証人喚問の喚問者に指名されるまでを述べました。

指名されたのは3月17日、証人喚問が3月23日ですから、それほど日はありません。しかも、17日は金曜日です。

喚問者は、衆議院の公明党が富田茂之代議士、参議院は、自民党が西田昌司議員、公明党が竹谷俊子議員に決まりました。

当日は、簡単な打ち合わせの後、週明けの21日に、役割分担などの詳細な打ち合わせをしようということで終わりました。

週末は地元に帰り、国会質疑の資料等に丹念に目を通し、月曜日から、関係者の聞き取りを含め、本格的な下調べを開始しました。

 

証人への喚問などを行う際には、その事件の背景について、ありそうなストーリーを推理することが必要になります。

以下、私が感じた「ありそうなストーリー」を述べていきます(もちろん他の可能性についても検討しましたが、字数の関係で省略。)。

このような「事件の筋読み」は、喚問の現場では、相手方の反応に応じ、次の質問を組み立てるために極めて重要になってきます。 (続きを読む…)