確かな政治で確かな未来を!!日本を立て直す
メニュー ホーム コラム プロフィール 政策 目で見る活動 国会での発言 はなし康弘からのお願い リンク ご意見 サイトマップ
 

経済安全保障等の観点から「みどりの食料システム戦略」の重要性を説く

2022-6-25

令和4年2月22日、令和4年度当初予算案が衆議院を通過した。

予算案の採決前には、全閣僚出席の下、「締めくくり総括質疑」が行われる。

この日、私は、12分間の時間を頂いて、昨年私が農林水産副大臣時代に策定した「みどりの食料システム戦略」の重要性について質問した。
奇しくもその2日後に、ロシアによるウクライナ侵略という暴挙が行われ、多くの国民が、食料安全保障の大切さに思いを致すこととなるのだが、化学肥料や化学農薬の使用量を削減し、有機肥料の全国流通を図ることなどを内容とする「みどりの食料システム戦略」は、「農林水産省がマニアックな有機農業に舵を切った」という声も聴くくらいで、国民の間に浸透しているとは言い難かった。
そこでこの日の質問となったわけだ。

まず、我が国のカロリーベースの自給率が、37%と、非常に低いことはよく知られている。
もっとも、有事には、芋類などを生産することにより、国民へのカロリー供給を行うという考え方もあるが、その農業の営み自体が、海外に大きく依存していることは、余り気づかれていない。
すなわち、農業において用いられる化学肥料はほぼ全量を輸入に依存しているし、化学農薬の原料も、多くは石油化学由来のものだ。 しかも、特に資源の偏在が著しいリン鉱石については、昨年までは、9割を中国から輸入していたが、本年の中国による輸出禁止措置により、その調達には、大変な苦労を伴うようになった(現在はモロッコから調達)。

これに加えて、我が国でこそ、農林水産分野による温室効果ガスの排出は、約4%と少なく、余り問題となっていないが、世界的には、約23%の温室効果ガスは農林水産業由来で、この分野での国際的ルールの策定が急がれている趨勢にある。

このような状況を踏まえると、①肥料、農薬、飼料等の調達先を確保しつつ、その内製化を進めることや②高温多湿で病虫害の被害を受けやすいアジアモンスーン地域でも実現可能な国際的ルールを作っていくことは、我が国の国民を食べさせていくために、まさにいまなすべきことだ。

これらの課題を、グリーントランスフォーメーション(グリーン分野におけるイノベーション)とデジタルトランスフォーメーション(生育管理のデジタル化などによる最適化)により達成していこうとするのが、「みどりの食料システム戦略」だ。

この日、12分という短時間の質疑ではあったが、岸田総理には、この戦略を「新しい資本主義」の中核として位置づけるよう、しっかりとお願いした。

コロナ禍の下でも賃上げを~予算委員会で質疑

2022-4-10

1月31日の衆議院予算委員会、私は、岸田総理ほか関係閣僚に対し30分間の質疑を行い。その模様がテレビ中継された。
テーマは、「統計問題等に関する集中質疑」。
年初来、一部報道により、国土交通省における基幹統計の計上ミスの指摘があり、野党の皆さんから、「意図的な改ざん」ではないかという疑念が呈せられ、この日の集中審議となった。

私は、質疑の前半で、国土交通省の統計に関する問題を取り上げ、後半は、国税庁と財務省の統計を比較して用いることで、統計から見えてくるわが国経済の姿を取り上げた。

前半は、動画にアップしてあるのでそちらに譲ることとしたいが、かなり技術的な質疑ではある。要は、国土交通省の計上ミス自体は、明らかなミスで、許されるものではないが、問題となった統計の性質上、「意図的な改ざん」があったとは考えにくく、さらに、この計上ミスが、GDPの数値に影響があるとは考えられないという内容。
ただ、この日いささかいぶかしかったのは、私に続く野党の質疑者が、ほとんど統計問題を取り上げず、「ワクチンの3回目接種が遅い」などの政府批判に終始したことだ。
まあ、技術的な内容が多いので、国民の前の質疑という形で料理するのは大変という事情もあったのかも知れないが。

後半の質疑は、財務省の法人税収統計と、国税庁の平均給与統計を並べて用いた。
法人税は、企業の利益に課税され、その実効税率は、現在29%程度だ。平成27・28年の法人税改革で、税率の下がった年は別として、労働分配率がほぼ同じと仮定すれば、法人税収の上がる年は(儲かった年)、それにつれて、平均給与も上がっているはずだ。
写真は、質疑で用いたパネルだ。令和元年(消費税引き上げの反動減で景気が落ち込んだ。)までは、法人税収と平均給与は、正の相関関係にあった。

ところが、令和2年と令和3年については、これが、「負の相関関係」、すなわち、法人税収は対前年比でプラスとなっているにもかかわらず、平均給与は、対前年比でマイナスとなってしまった。
これは、令和2年と3年の春闘前における企業の業績見通しが、コロナ禍の影響で悪くなると予想されたため、あまり賃上げをしなかったのに(労働組合の強気の要求を控えたと思われる。)、実はこれらの年の企業利益は見通しに比べて大幅に伸びたことによる。
もっとも、企業や労働組合の見通しを責めるのは酷な面もある。財政当局も、コロナ禍の影響を過大に見積もっていたふしがあるからだ。すなわち、令和2年の法人税収は約3兆円、令和3年の法人税収は約4兆円、それぞれ、当初見通しよりも上振れした。

もとより、コロナ禍の中、観光や飲食など、業績の落ち込んだ企業は多い。しかし、それ以外の産業、特に大企業は、確実に利益を上げているということだ。
ところが、令和2年の春闘時にはダイヤモンドプリンセス号や学校一斉休校などがあり、令和3年の同時期には年初からの緊急事態宣言などもあり、先行きが見通せない雰囲気が世の中にまん延し、これが平均給与の低下をもたらしてしまった。

この日私は、確かにコロナ禍は大変だが、法人税収を見れば、儲かっている企業が多いという実態を示した上で、これらの企業に賃上げをリードしてもらわなければならない旨、岸田総理に訴えた。

コロナの影響で、原油、食料、飼料等、国民生活に必須な物資が値上がりしつつある。だからこそ、コロナ禍の中でも、是非賃上げを実現したいものだ。