
コロナ禍の下でも賃上げを~予算委員会で質疑
2022-4-10
1月31日の衆議院予算委員会、私は、岸田総理ほか関係閣僚に対し30分間の質疑を行い。その模様がテレビ中継された。
テーマは、「統計問題等に関する集中質疑」。
年初来、一部報道により、国土交通省における基幹統計の計上ミスの指摘があり、野党の皆さんから、「意図的な改ざん」ではないかという疑念が呈せられ、この日の集中審議となった。
私は、質疑の前半で、国土交通省の統計に関する問題を取り上げ、後半は、国税庁と財務省の統計を比較して用いることで、統計から見えてくるわが国経済の姿を取り上げた。
前半は、動画にアップしてあるのでそちらに譲ることとしたいが、かなり技術的な質疑ではある。要は、国土交通省の計上ミス自体は、明らかなミスで、許されるものではないが、問題となった統計の性質上、「意図的な改ざん」があったとは考えにくく、さらに、この計上ミスが、GDPの数値に影響があるとは考えられないという内容。
ただ、この日いささかいぶかしかったのは、私に続く野党の質疑者が、ほとんど統計問題を取り上げず、「ワクチンの3回目接種が遅い」などの政府批判に終始したことだ。
まあ、技術的な内容が多いので、国民の前の質疑という形で料理するのは大変という事情もあったのかも知れないが。
後半の質疑は、財務省の法人税収統計と、国税庁の平均給与統計を並べて用いた。
法人税は、企業の利益に課税され、その実効税率は、現在29%程度だ。平成27・28年の法人税改革で、税率の下がった年は別として、労働分配率がほぼ同じと仮定すれば、法人税収の上がる年は(儲かった年)、それにつれて、平均給与も上がっているはずだ。
写真は、質疑で用いたパネルだ。令和元年(消費税引き上げの反動減で景気が落ち込んだ。)までは、法人税収と平均給与は、正の相関関係にあった。
ところが、令和2年と令和3年については、これが、「負の相関関係」、すなわち、法人税収は対前年比でプラスとなっているにもかかわらず、平均給与は、対前年比でマイナスとなってしまった。
これは、令和2年と3年の春闘前における企業の業績見通しが、コロナ禍の影響で悪くなると予想されたため、あまり賃上げをしなかったのに(労働組合の強気の要求を控えたと思われる。)、実はこれらの年の企業利益は見通しに比べて大幅に伸びたことによる。
もっとも、企業や労働組合の見通しを責めるのは酷な面もある。財政当局も、コロナ禍の影響を過大に見積もっていたふしがあるからだ。すなわち、令和2年の法人税収は約3兆円、令和3年の法人税収は約4兆円、それぞれ、当初見通しよりも上振れした。
もとより、コロナ禍の中、観光や飲食など、業績の落ち込んだ企業は多い。しかし、それ以外の産業、特に大企業は、確実に利益を上げているということだ。
ところが、令和2年の春闘時にはダイヤモンドプリンセス号や学校一斉休校などがあり、令和3年の同時期には年初からの緊急事態宣言などもあり、先行きが見通せない雰囲気が世の中にまん延し、これが平均給与の低下をもたらしてしまった。
この日私は、確かにコロナ禍は大変だが、法人税収を見れば、儲かっている企業が多いという実態を示した上で、これらの企業に賃上げをリードしてもらわなければならない旨、岸田総理に訴えた。
コロナの影響で、原油、食料、飼料等、国民生活に必須な物資が値上がりしつつある。だからこそ、コロナ禍の中でも、是非賃上げを実現したいものだ。
豪雪被害に迅速に対応~秋田県の被災状況を実地に見る
2021-2-4
1月24日の日曜日、私は、農林水産副大臣として、昨年来の豪雪に見舞われている秋田県横手市の現場に赴いた。
写真で私に説明していただいているのが高橋横手市長、その隣が佐竹秋田県知事、地元選出の御法川衆議院議員も同行した。
国に対する期待の大きさを痛感する。
今シーズンの豪雪は、例年よりも早い。降雪のピークは1月下旬から2月初めなのだが、昨年から豪雪が襲来してきている。
しかも、量も多く、1月末現在で例年の4倍だ。
私が視察した秋田県だけで見ても、1月7日現在、死者が13人と、秋田県にとっては、過去最大の被害と言われた昭和48年冬からのシーズンの「48豪雪」での犠牲者13人と、既に並んでいる。 犠牲になった方々のご冥福を心からお祈り申し上げたい。
そして、これに加えて、特に農業被害が深刻だ。
かつての横手盆地は、米の単作地帯だった。でも現在、米だけでは農家は食べていけない。だから、秋田県も、施設園芸や果樹への転換を進めてきた。
その矢先の豪雪で、ハウスは倒壊、リンゴの木も裂けてしまった。
今回の豪雪は、努力してきた生産者の心を折りかねない。
新型コロナ対策に知恵を集める~私の提案が実現へ
2021-1-23
先のコラムで、1月13日午前の党本部の会議で、私が、外国人や邦人の入国後の行動制限は、現在「誓約書」で担保されており、一定の強制力を持たせるためには、入管法や検疫法の改正検討が必要と述べたことについて触れた。
この指摘を受け、その場でも、政府から、「検討する」旨の回答を得たわけだが、早速に改善が図られることとなった。
会議終了後、私から担当者に対しては、検疫法で何らかの義務づけを行い、その義務に違反した場合は、入管法の世界で対処することを検討してはいかがかという提案を行った。
政府の検討も迅速だった。 (続きを読む…)
新型コロナウィルス感染症対策に関する新たな立法の議論
2021-1-18
1月13日の自民党本部。新型コロナウィルス感染症対策に関する新たな立法措置の方向性が政府から示され、議論を行った。
政府からは、新型インフルエンザ特別措置法(特措法)の改正について、
○ 緊急事態宣言を出さなくても、予防的措置(後に「まん延等防止措置」に変更)の段階で、休業命令等ができるようにするとともに、臨時の医療機関の設置もできるようにする。
○ 休業命令等による経営への影響への配慮を努力義務化する
○ 休業命令違反等への行政罰を盛り込む
などの説明があり、さらに、感染症法の改正について、
○ 疫学調査に応じることの義務化と入院勧告違反への罰則
などの方向性についての説明があった。
今回も多くの議員からの 発言があったが、私からも、昨年来申し上げていることを敷衍した発言を行った。 (続きを読む…)
新型コロナ対策の法改正について提案を行う~党内の建設的議論こそ大切
2021-1-11
1月7日午前10時の自民党本部。急遽、令和3年になって初の「新型コロナ感染症対策本部」が開催された。
東京都の新規感染者数は、令和2年の大晦日に1337人を記録し、世間に衝撃を与えたが、年が明けてからも高水準で推移、1月6日には、1591人と過去最悪を更新した。
このような状況下、1月2日、関東1都3県の知事が政府に対し「緊急事態宣言」の発令を要請、菅総理も、1月7日にも緊急事態宣言を行う方向での検討を表明、さらに、新型インフルエンザ特措法等の早期の改正についても言及した。
この日の会議は、このような動きを受けたもので、各議員には前日に会議の案内が届くという、緊急の開催となった。
国民が大きな不安に直面する中、関心の高い会議であり、急な案内にもかかわらず、私も含め、多くの議員が出席し、医療現場や業界の窮状を訴えるなど、力のこもった演説をし、会議は、1時間の予定を大幅に超過、2時間15分に及んだ。
その中で私は、今後に向けた前向きの抜本対策をとるため、発言の中で、より建設的な提案をさせていただいた。 (続きを読む…)
「ウィルスに年末年始はない」~鳥インフルエンザの大流行
2021-1-4
新型コロナウィルス感染症が、年末年始を控えて、猛威を振るっている。まさに、「ウィルスに年末年始はない」という状況だ。
そして今年は、養鶏・食鳥の世界で、もう一つのウィルスが猛威を振るっている。「高病原性鳥インフルエンザウィルス」だ。
本シーズンはすでに、14県、34農場での感染が確認され(令和3年1月4日現在)、過去最大の約480万羽の鶏が殺処分の対象となっている(国内の飼養羽数の約1.5%強)。
私は、現在、農林水産副大臣として対応に当たっており、鳥インフルエンザの発生を見た香川、宮崎、大分、千葉、岐阜の5県にそれぞれ日帰り出張し、直接知事とお会いし、県当局との連携強化を確認したが、昨年の千葉県は12月24日、今年の岐阜県は1月2日と、まさに、「ウィルスには、年末年始もクリスマスもない」ということを実感した。
まん延の理由は、今後更に専門家による検討が必要だが、今回は、現在の状況と取り組みについて報告する。
政府の対応にしびれを切らす~幹事長室緊急提言を策定
2020-7-24
第1 幹事長室緊急提言を策定するまで
(私が感じた疑問)
先のコラムで私は、①仮設でも良いので、新型コロナの感染者が急拡大したときに備え、病床(人員の確保は当然)を準備しておくべき。②経済活動再開の安心のため、自費負担でも良いから、PCR検査や抗原検査を受けることができるようなルートを確立すべき。ということを訴えた。
そして、このことについて、党内の会合でも、ゴールデンウィーク前後から、ずっと発言してきた。
しかし、5月から6月にかけ、感染者数の増加がある程度落ち着きを見せ、超大型の給付措置等を内容とする第2次補正予算も成立すると、政策対応に「ほっと一息」感が見えるようになった。
政府や党の政策議論も、コロナ後の国際秩序形成(「米中新冷戦」?)やデジタルトランスフォーメーションによる新しい経済の構築に移行してしまった。
それはそれで大切なのだろうが、冒頭述べた問題意識を持っていた私自身は、本当にこれで良いのかと、大いに疑問を持っていた。
第2波の流行に打ち勝つ強靱な政策こそ必要~政治は、「給付」、「給付」の次にある我が国の姿を国民に示さなければならない
2020-5-29
5月27日、歳出規模32兆円に上る、極めて大型の、令和2年度第2次補正予算が閣議決定され、6月8日からの週の予算委員会で審議の後、今国会中にも成立する見込みとなった。 (続きを読む…)
緊急事態宣言下での政策提案活動~サプライチェーンリスクに関するWTの活動
2020-5-3
4月7日、新型コロナウィルス感染症蔓延防止のため、「緊急事態宣言」が発出された。
これに伴い、国会の活動も、本会議は、採決以外は半数の議員のみの出席、委員会も、回数を絞り込みながら、 (続きを読む…)
自民党新型コロナウィルス感染症対策本部での発言内容
2020-4-13
新型コロナウイルス感染症が、世界的に猛威を振るっている。
4月上旬までに、全世界の感染者が150万人を突破し、死者が10万人を超えるという状況を、新型コロナウィルスの中国での感染拡大が報じられた3ヶ月前、誰が想像できただろうか。
自民党は、新型コロナウィルス関連肺炎対策本部を設置、蔓延対策や経済対策について、議論が行われ、私自身も、予算委員会や法務委員会が開催されない限り(いずれの委員会も理事を務めているため、欠席することができない)、積極的に参画して、毎回発言するようにしてきた。
以下、時系列を追って、私の発言内容を紹介することとしよう。
3月2日 対策本部会議
議題 新型インフルエンザ等特別措置法の対象に、今回の、中国由来の新型コロナウィルス感染症を加えること
私の発言内容
現在でも、行動の自粛要請等は行われているわけで、休業も、外出の自粛も、この法律改正を行わなくても、要請自体は可能だ。この法律改正を行う意味があるとすれば、この法律に基づく休業要請には、相当の補償を行うというように、考え方ををしっかり整理しておく必要があるのではないか(政府からは、残念ながら、明確な返答はなかった)。
3月10日 対策本部会議
議題 新型コロナウィルス感染症の蔓延への対策について
私の発言内容
マスクの不足が全国的に問題となっている。ただ、いくら増産しても月6億枚ということでは、不織布マスクを毎日1枚使うことができる人数は、2000万人に過ぎず、国民全体に行き渡るはずがない。
政府は、医療福祉関係や食品製造等毎日マスクが必要な人がどれくらい、何日か使い回す人はどれくらい、マスクをつけなくても良い人はどういう人たちといったように、マスクの装着基準を明確に示すべきではないか。
3月19日 対策本部会議
議題 新型コロナウィルス感染症の影響に関するヒアリング(建設、トラック等)
私の発言内容
感染症の拡大抑止対策と経済対策は、ある意味で矛盾している。前者は経済活動の抑制を、後者は経済活動の活性化を求めるものだからだ。だから、まずは拡大を抑制し、しかる後に経済対策ということになる。そして今が感染拡大抑止の時期であることはいうまでもない。
ただ、感染拡大抑止といっても、一般的な活動自粛要請は、ずるい方法と言われてもいたしかたない。例えば、建設現場で作業員がマスクなしで作業するのはいいのか、悪いのか、事業者の判断のみに委ねるのは、さすがに事業者に酷だ。
感染拡大抑止のため、何はしても良いのか、何はすべきでないのか、具体的に示し、それで損失を被った方には、相応の面倒を見るような具体的なメッセージを出すよう、党としても政府に申し入れるようお願いしたい。
3月24日 対策本部会議
議題 新型コロナウィルス感染症の影響に関するヒアリング(医療、介護、保育、幼稚園等)
私の発言内容
今現場で、衛生用品、特にマスクが不足しているというお話を伺った。また、介護、幼稚園、保育園等には、布マスクを配布されるという。
ただ、今回の新型コロナの問題がここまで大きくなる以前、確かテレビ等で、「布マスクは感染予防にあまり役に立たない」という報道がなされたことを記憶している。布マスクを配布する以上、布マスクが、具体的にどのように効果があるのか、公的な見解をしっかりと示さなければ、布マスクが配布される施設にとっては不安だと思う。しっかりした対処をお願いしたい。
(その後、4月に入り、政府は、国民1世帯あたり2枚の布マスク配布を発表)
3月31日 経済成長戦略本部・対策本部合同会議
議題 新型コロナウィルス感染症に係る経済対策に関する党の提言
私の発言内容
① 今回の経済対策は、とにかく規模感とスピード感が大切。
② 消費税を引き下げるべきという意見もある。もとより議論するなとは言わないが、今、消費をいかに増やすかを議論しても、お金を使う人はいない。いずれにせよ次の段階の話ではないか。
③ 「お肉券」や「お魚券」が面白おかしく取り上げられ、さすがに対策には盛り込まれなかった。その一方で、特に和牛などは、消費が大きく落ち込み、倉庫がいっぱいの状況になっているそうだ。さらに、学童も、学校が休校になり、ストレスが非常にたまっている。4月からは再開する学校もあるかと思うので、和牛のすき焼きをタダで。学童の給食として振る舞うなど、子供たちに明るい話題を提供する施策も大切ではないか。
4月3日 税制調査会(コロナ対策関連)
議題 新型コロナ感染症対策に係る税制
私の発言内容
① 発言されるときにマスクを外される議員もいらっしゃるが、マスクは飛沫を飛ばさないためにつけるものでもあり、皆で気をつけよう。
② 消費税のことが大綱案に書かれていないことに不満の声もあったが、先の会議でも述べたが、今は消費税のことを議論すべきステージではない。
③ 新型コロナ対策の税制は、業種を限らず、幅広く恩恵を被ることができるようにすべき。例えば、テレワーク減税で用いようとしている中小企業経営強化法のスキームは、今大変な危機に陥っている劇場やイベント業などは対象になっていない。政令などを改正してしっかり対応すべき。
4月6日 政調全体会議
議題 新型コロナウィルス感染症に関する政府の経済対策
私の発言内容
① 経済対策の中に盛り込まれた「布マスク2枚の配布」や、「収入が急減した一定の要件を満たす世帯への30万円の給付」について、特に後者についてはその要件を緩和すべきという思いはあるものの、各方面の調整を経ているのだろうから、私は敢えて反対はしない。
しかし、配布や給付にスピード感を欠いたり、窓口で混乱を来したりすることとなれば、それは政治に対する信頼を決定的に毀損することになる。市町村の窓口だけに任せていたら、恐らくは大混乱だ。
例えば税務署の職員を応援に貼り付けるとか、プッシュ型の運用体制の強化を図るなど、役所の垣根を取り払った異次元の措置をとるべきではないか。
② 政府が、中小企業を支援する、雇用を守るというメッセージはある程度読み取ることができる。
しかし、医療の現場は、特に院内感染を出してしまった病院、市中のクリニックなど、経営面でも逼迫しているところが少なくない。経営面での支援がなければ、医療提供体制の強化といっても、絵に描いた餅になってしまう。
また、感染症にとどまらず、一般の医療現場も疲弊している。検査が一向に進んでいないにもかかわらず、新型コロナでない肺炎患者の入院も多く、逼迫している状況だ。
これら医療従事者に対する特別の手当なども考えるべきではないのか。