悲願!!「つくばエキスプレス」(2) ~鉄路が利根川を渡るまで

2005-7-27

今日は、つくばエキスプレス(TX)の開業までの物語の続き。

TX運転席から見た利根川陸橋と茨城県

平成8年、新線の「平成12年開業」が、5年程度遅れることが明らかになる。
私が政治活動に身を投じたのは平成11年だが、その当時も、TX沿線である地元の守谷市などを歩いていると、「お前の親父の政治力がないから開業が遅れた」といった選挙民の声を、良く耳にした。
でも、開業遅延の理由は、第1に用地買収。
当時、千葉県内の用地買収は3割も進んでおらず、将来の見通しさえ立たない状況だった。勿論、「千葉を通らなければ利根川は渡れない」!
もしも政治力があったとしても、用地買収は相手のある仕事。しかも、当時千葉県には、成田闘争の影響で、「土地収用委員会」という存在自体がなく、強制的な措置もできない。
これでは8方手詰まりだ。

勿論工事は、できるところから進めてもらっていた。しかし、用地買収の困難はなかなか解消しない。
平成13年、千葉県に、「無党派代表」の堂本暁子知事が、自民推薦候補及び民主推薦候補を破って当選する。
かつて、千葉県の知事の関心は、「東葛(柏・松戸)」よりも「房総」と言われてきた。
しかし、今度の知事は違うはずということで、議連会長であった葉梨信行も、堂本新知事と直談判することとする。これには、議連を超党派で発足させていたことが大いに役立った。

堂本知事自身も、用地買収への全面協力を確約。
勿論、地価の下落で用地買収が容易になった要素も大きいが、その後2年で、千葉県内の用地買収率は9割に向上、開業に向けての1つの問題が除かれることになる。

でも、開業に向けては、もう一つの大問題があった。
千葉県流山市と常磐線馬橋駅を結ぶ流山電鉄。TXと立体交差予定だが、もしも新線開業となれば、乗客を奪われるのは必至。
流山電鉄も、なかなか立体交差にOKを出さない。だが、新線ができることを理由とした営業補償も、過去に前例がない。
ただ、平成17年開業のためには平成14年がリミット。
一時は、平成17年の開業自体が難しいのではという暗い見通しも漂ったくらい。
そこで、葉梨も、千葉県選出国会議員らに働きかけるとともに、国土交通省に対し、落としどころを粘り強く模索するよう要請する。
また、内々では、茨城・千葉両県民を巻き込んだ署名運動でもやるかというプランも語られるようになる。まさに真剣勝負。
平成14年の秋、葉梨信行の国会事務所に、国土交通省鉄道局から「流山電鉄の社長がはんこを押しました。」という連絡が入る。これが、新線の平成17年秋の開業が決まった瞬間。
地元回りが多かった私も、その日は、国会事務所でその瞬間に立ち会い、早速関係市町村長に連絡したことを覚えている。

平成15年10月、葉梨信行は代議士を引退、翌11月、自民党の後継者として、私、葉梨康弘が立候補、初当選を果たさせていただいた。

これからも夢を育てていく

議連結成以来13年余、会長は、葉梨信行から、参議院(千葉県選出)の倉田寛之議長(当時)に交替することとなったが、事務局としての仕事は、引き続き、葉梨の事務所が担うこととなった。
私も、茨城県選出の代議士として、長年にわたり多くの関係者が培ってきた「常磐新線=TX」の夢を育てていかなければならない。

都市と鉄道を一体として整備するTXの沿線開発は、かつて「ウサギ小屋」と揶揄された日本に、世界に誇る良質な郊外型の住宅地・ライフスタイルがあることを、発信していこうとするモノだ。
そして、このプロジェクト成功のためにも、是非実現したいのは、TXの東京駅延伸。それだけで、沿線の価値がアップすることは間違いない。
ただ、秋葉原から東京駅までの2㎞で約1000億円。これを沿線自治体が負担することになる。
しかも、実現への意欲面で、東京都と他の3県に温度差があるのも事実。
私も、不透明な郵政国会の決着がつけば、旧知の堂本暁子千葉県知事(平成11年の児童ポルノ禁止法制定にともに携わり、役所時代から懇意にしている。)などとも相談し、その温度差を埋める作業をしていきたい。
そして、この国会で成立を見た「都市鉄道利便増進法」を、TX東京駅延伸の「追い風」として活用するスキームについても考えていきたい(4月のコラム参照)。

つくばと秋葉原を結ぶTXは8月24日開業。
でもこれからも、今までと同様、まだまだ山も谷もありそうだ。
戦術・戦略をしっかりたて、今後に向けた確実な一歩を踏み出していこう。