「郵政改革」は「耳障りな改革」の試金石~私が局長さんに説明してきた耳障りな話

2005-8-14

永田町では、郵政改革派対反対派のバトルが真っ盛り。

雨の中日産マーチでの辻立ち

改革派の注目候補になるのではと取りざたされている片山さつき財務省課長(46)が、私の大学時代の同級生だったため、自民党広報車(といっても日産マーチ)での辻立ちに忙しい(1日60回になることもある。)私のところにも、民放各局(フジ・TBS)からの出演依頼が来るぐらいに報道はヒートアップ。

でも、ときどき耳にする声は、「郵政改革って、そんなにしゃかりきになる問題なの」という意見。
私は、郵政改革の問題は、後に控える社会保障・年金改革、公務員改革、税政改革の問題などと比べると、実は難易度は低いと思う。

しかし、これらの改革は、いずれも、ときには、一部の大反対にさらされても断行しなければならない「耳障りな改革」。でもできなければ日本が壊れてしまう。
だから、これからの日本が、「耳障りな改革」を進めることができるかどうか、今回の「郵政改革」の成否は、まさにその試金石で、その意味で、「しゃかりきになるべき問題」だ。

今日は、私が今まで、地元の郵便局長さんに、郵便局を愛する故、どのように「耳障りな説明」をしてきたか、紹介しよう。 私が、郵政事業のうち、少なくとも貯金・簡保などの運用を分社化して民営化すべきと痛感したのは、昨年の8月、自民党郵政改革特命委員会での次の発言。
○生田郵政公社総裁が、「お金の運用等は、やはり公務員よりも民間の方がうまくいく」との指摘したこと(現実に平成16年度決算は大幅減益)
○郵政公社が、私の質問に対し、貯金業務の利差(利益)の多くは、国への預託金(特殊法人に高利で貸し出され、特殊法人による返済時に税金による補給が行われる)が稼ぎ出していると回答したこと
郵政事業に多額の税金投入が不可能な現状では、民営化により運用収入を向上させなければ、残る道は、郵便局の廃止しかない。

でも、私は、今までも、地元の郵便局長夫人など、大いに選挙で世話になってきた。
そして、局長さん方は、確かに、本当に地域に密着した仕事をやってきた。「公務員でいたい」その気持ちも分かる。
当然、民営化には反対して欲しいという要望もあった。

そこで私は、時間をかけて、次のような「耳障りな」説明を行ってきた。
○平成16年9月10日の郵政民営化基本方針の閣議決定の翌日、地元の郵便局長約40人を集め、今までの経緯を説明。一部郵政族議員の極論は、かえって郵便局にとってマイナスではと指摘。
○平成17年1月の特定局長会の新年会で、「『郵政事業に税金が使われてない』というのは嘘。特殊法人経由で多額の税金が使われおり、それを言うのはやぶ蛇」と指摘。その上で、「官か民」かでなく、「郵便局ネットワークの維持」と「郵便・金融・保険サービスの維持」が基本と指摘(このときの新年会で、「郵政民営化反対」を明言させられた議員もいた。)。
○平成17年6月26日には、地元の郵便局長約30人と懇談、必要な修正さえされれば、「今の法案に、こういう理由で私は賛成するよ。」と明言。さらに、「郵政特の質問も頼まれているので、郵便局を愛する立場からの民営化論を展開しよう。」と約束(私の民営化論は、7月9日のコラム参照。)。

このような丹念な説明を行ってきてが、私自身も、法案の衆院可決後、特定局長会の顧問を解任された。ただ、地元の郵便局長らは(余りおつきあいがないため郵送だった県西を除き)、「申し訳ないけど上の指令なので」と神妙な顔をして解任状を持ってきた。
私も、「綿貫・亀井センセイより私の方が郵便局のことを考えている」というと、「これからも有志で応援します」とのこと。

私は、このような、時間をかけた説明・説得の議論を通じ、やはり郵政改革は、「耳障りな改革の試金石」と痛感した。
辛いかも知れないが、このような「耳障りな説明の物語」から、社会保障・年金問題にせよ、税制改革にせよ、行財政改革にせよ、全ての改革が始まる。

その努力を怠っていては、改革などできようはずがない。
労働組合の言いなりで改革をつぶした民主党はその典型だが、民主党議員も、ことの本質が分かってないと思う。

読売新聞茨城版に載った、わが選挙区(茨城3区)の情勢についての記事(8月12日)の引用。
「2回連続で復活当選を遂げ(中略)たK(民主党)は『次こそ選挙区で勝利を』と意気込む。「茨城都民」の多い都市部で葉梨に勝った実績から、差が開いた農村部の票の開拓に躍起だ。選挙区内の特定郵便局約30局には、『郵政民営化法案の廃案を目指して最後まで戦う』とした決意文を届けるなど、自民党の支持基盤を切り崩しにかかっている。」

改革への賛否は選挙のためではないはずだ。でも結果として、公務員の地位に固執する一部の特定郵便局長の票が民主党に流れたとしても、それはやむを得ない。
ただ、それだけでは国民政党としてフェアーでない。
民主党は、改革反対の郵便局長や労組だけでなく、全ての選挙民に対し、「郵政民営化法案の廃案を目指して最後まで戦う」という決意文を届け、民主党が、改革反対=抵抗勢力であることの本質を、自ら国民の前に明らかにすることこそ必要ではないか。