今年が最後の笑顔かも~事業仕分けで存亡の危機にある親子野外生活体験活動

2010-5-28

この笑顔も「仕分け」られるようだ

5月27日、早朝地元での駅立ち後、久し振りに上京した。
実は私、2年前から、「青少年交友協会」という公益法人(社団法人)の理事についており、その理事会に出席するためだ。
理事長の森田勇造氏(70)とは、私が平成9年、警察庁少年課理事官として、少年非行問題に取り組んでいたとき以来のお付き合い。
地域・家庭の教育力を高めることに熱意を燃やす氏の考え方に意気投合し、さらに、世界の遊びの伝承、自然との交流などを実践する氏の活動に敬服し、力不足を承知の上で、理事をお引き受けした。
また、この協会は、これまで40年にわたり、毎年、新宿~青梅43㌔の「カチ歩き大会」(参加者1500人)を主催していることでも知られている。
私は、このような活動は、世の中の不透明感が増す中、将来の発展を「ヒトづくり」に頼らざるを得ない現在のわが国には、絶対に必要なものと確信している。
そんな協会の活動が、今、危機に瀕している。

原因は、民主党政権の「事業仕分け」だ。私たち青少年交友協会は、その事業の一環として、毎年、「親子野外生活体験」という事業を実施してきた。
事業の趣旨などを説明するよりも、昨年、東京の五日市青少年旅行村(バンガロー泊)で開催された生活体験のスケジュールを掲げた方が理解しやすいと思う(50家族、150人)。
日程
1日目5月3日(祝)
10:00 集合
10:30 開講式、諸注意
11:00 備品・食材・ブロック・薪の配給
11:15 かまどづくり、火吹き竹づくり、火の燃やし方
11:45 昼食づくり
13:30 たけのこ堀り
15:30 道具づくり(竹箸・竹串づくり)
17:00 夕食づくり: ご飯の炊き方、みそ汁、野外鍋料理
20:00 懇親会(家族紹介)、星空観察
22:00 就寝
2日目5月4日(月)
6:30 自然観察(希望者)①地域踏査②野鳥観察
7:00 起床
7:30 朝のつどい
7:45 朝食づくり(筍ご飯)
9:00 自由時間(お手玉、パチンコ)
11:30 記念撮影
12:00 昼食
13:00 野草摘み
14:30 川遊び、ますのつかみ取り・さばき方と串焼き
17:00 夕食づくり(野草の天ぷら)
20:00 花火と大焚き火
21:00 大人の懇親会(児童就寝)
23:00 就寝
3日目5月5日(祝)
7:00 起床
7:30 朝食づくり
9:00 竹とんぼづくりと競技会
11:00 昼食づくり(手打ちそば)
13:00 後片付け、撤収、清掃
14:30 閉講式
15:00 現地解散

ただ、この種の事業、指導者への謝金など、「教育」部分に必要な費用も含めて、参加者から実費をいただこうとすれば、どうしても、通常の旅行代金と比べれば、高くついてしまう。
一定の参加者を確保できなければ、社会教育活動の意味もないわけで、参加者にご負担いただく費用は、どうしても、宿泊費と食費程度となってしまう。

だから、この事業を参加費だけで賄えば、毎年200万円程度の赤字になってしまうとのことだ。
それでも、この事業が続けられたのが、各企業の協賛のほか、「独立行政法人」からの助成金があったからだ。

社会全体の教育力や絆を高めるには、青少年交友協会だけでなく、公益法人やNPO法人が行う非営利の活動が極めて重要だ。
しかし、長引く不況で、民間企業からの寄付は、極めて募りづらくなっている。
でも、政府が単年度予算の中で、これらの法人に補助金を支出できるようにするには、たとえ100万円程度の支出でも、前年8月の概算要求前から、個々の法人や事業に関する膨大な資料を作らなければならず、(支出を受ける側の公益・NPO法人が極めて零細な法人であることを考え併せると)全く間尺に合わない。

そこで考え出されたのが、行政の代行機関である「独立行政法人」に、「基金」を造成するという仕組みだった。
これならば、助成金交付目的の範囲内の法人に、機動的に助成金を交付することができる。
青少年交友協会の「親子野外生活体験」事業の場合、独立行政法人「子どもゆめ基金」の基金や、独立行政法人「福祉医療機構」の子育て支援のための基金から、ささやかながら、毎年100万円程度の助成をいただいていたわけだ。

さて、この、「子どもゆめ基金」には100億円、「福祉医療機構」の支援基金には300億円が政府から出資(原資は税金、他に民間からの出資もあり)され、この基金が、各種の公益・NPO法人への助成に活用されていた。

ところが、これらの支出や基金が、民主党の「事業仕分け」により、「ムダ」、「廃止」、「基金召し上げ」と結論付けられてしまった。
理由は、
・これは「埋蔵金」だ。
・いずれの独立行政法人にも「天下り」がいる。
・本当に必要なら単年度ごとに政府に補助金を申請すればいい。
・「学校」がやればよいことではないか。
などといった理由とのことだ。

オイオイ、こんな野外活動、日教組でやってくれるのかよ。
天下り役人がいるなら辞めさせて1人年千万の給与を浮かせりゃいいじゃないか、どうして100億・300億を召し上げるのか。

その意図は分かっている。
子ども手当、高校無償化、「埋蔵金」らしき財源があれば、とにかくバラマキに使いたいからだ。
でも、そのおかげでわが青少年交友協会の「親子野外生活体験」事業は、今年でもう終わりかも知れない。

民主党政権は、毎年50家族、150人が参加し、親子の絆、地域の絆、自然との絆を感じ取る「親子野外生活体験」活動に対する100万円の助成金を召し上げることで、子ども手当3人分(月2.6万円で年間93.6万円)のバラマキ資金を捻出した。
この、愚か者たちよ。