バラマキ政策のままの「増税検討」は危険(2)~国民負担に関する国民投票制度構築の提案

2010-6-24

バラマキ補填の増税でなく社会保障の絵姿を国民に問うべき

そもそも、本年の予算規模を92兆円にまで膨張させ、昨年当初予算よりも11兆円も多い、過去最大の44兆円という国債発行の原因を作ったのは、決して、「年金・医療・介護」の支出増1兆円のためではなく、「バラマキ政策」による財政膨張が原因だ。
民主党が昨年の総選挙のマニフェストで、「借金しなくてもお金が出てきますよ」とウソをついて約束したバラマキ政策、今年は赤字国債の大量発行で財源を捻出したが、増税でもしなければ、財政は極端に悪化してしまう。
「子ども手当て」の予算は来年度満額なら5.2兆円、これは、消費税換算で2.5%の増税に相当する。
また、高校無償化予算の4000億円、高速道路を無料化した場合の2兆円と暫定税率撤廃の2.5兆円は、消費税換算で2%強の増税に相当する。
これだけでも消費税率10%への増税が必要だ。
名目が「年金・医療・介護」のためと説明されたとしても、これではバラマキ政策のつけを消費税に回すのかと勘ぐりたくもなる。
ではどうすれば良いのか。○「年金等」以外の分野は徹底した歳出改革で「小さな政府」を

「年金・医療・介護」の分野は、サービス水準を今のままとしても、高齢者の方が増加すればするだけ出費はかさんでくる。
必要な出費であれば、当然国民にご負担を求めざるを得ないが、その前に、「年金等」以外の支出については、出費を押さえ込み、国民負担をできるだけ増加させないための努力が必須だ。
自民党政権の下では、「マイナスシーリング」という方式がとられ、社会保障分野以外の予算は、原則前年比マイナスとされてきた。これが民主党政権になって、いわゆる「マニフェスト実行」のため、「シーリング」は廃止、予算が膨張気味になってしまう。
「事業仕分け」を導入し、「はやぶさ後継機もムダ」、「畜産危機対策もムダ」として6000億円ほど捻出したものの、「年金等」以外の歳出が、前年度対比3~4兆円も増加、赤字国債を発行してバラマキ政策に使われることとなった。これはいただけない。

もしも今消費税の議論をするならば、「年金等」以外の支出については、「バラマキ」を即刻撤回するのは当然のこととして、自民党政権時代に行ってきた以上の歳出改革を行う必要がある。
まず、「年金等」以外の分野については、明確に、「小さな政府」を目指す方向性を明らかにし、マイナスシーリングを復活し、さらに徹底した歳出削減を図るべきだ。
また、税金のムダ遣いに対しては、現在の会計検査院などよりも機動的に動くことができる外部的な監視体制を確立し、これを制度設計にフィードバックしていく必要もあろう。

いずれにせよ、民主党がバラマキ政策を止めない限り、与野党で消費税増税の協議を行うなど、とんでもない話だ。

○「年金等の将来の絵姿」について国民投票も視野に入れよ

さて、「年金等以外の分野は小さな政府」という方向性を確定した上で、私たちはやっと、「年金・医療・介護」と「負担」の議論に入れるのではないかと思う。

ただ、何よりもこの問題、負担も半端でなく、国民的コンセンサスが大切だ。
もっとも、消費税は必ず上げなければならないと決めてかかる筋合いのものでもなく、給付水準を合理化すれば、出費が減る場合もある。
要は国民のコンセンサス次第だ。
だから、将来の社会保障のあり方として、
・「低福祉・低負担」(税率は上げず、サービス水準を下げる)を選ぶのか、
・「中福祉・中負担」(サービス水準は現行のまま、税率は少し上げる)を選ぶのか、
・あるいは、「高福祉・高負担」(サービス水準を向上させ、それに見合う税負担を引き上げる)を選ぶのか、
しっかりとシミュレーションし、国民にその利害得失と将来像を、分かりやすく示していくことが肝腎だ。

その上で、どの選択肢を選ぶのかという問題について、私は、最近では、「国民投票制度」を導入し、国民とともにに考え、国民の判断を尊重する方策をとるべきではと考えるようになってきた。

実は3年前の5月、私も提出者の1人となった憲法改正国民投票法が成立したが、この法律の審議過程でも国政の重要課題について国民投票制度を導入すべきという有力な意見もあった。
ただ当時私は、憲法改正以外の国政の重要課題に関する国民投票制度を作ることは代議政治の否定につながり、現行憲法上も疑義があるという理由で、むしろ消極的な立場をとっていた。
でも、最近宗旨替えをした。

○高まる政治不信の中「国民とともに考える」姿勢こそ大切

私は今、地元に密着し、1人1人の住民の方からご意見を聴く活動をしているが、聴けば聴くほど、かつての自民党政治に対する不信、政権交代後の民主党政権の言葉の軽さ・無責任体質などに対する不信、まさに国会(代議政治)全体に対する不信が、膨張するマグマのように蓄積していることを、日々実感せざるを得ない。
また、多くの国民が、昨今の国会中継での汚いヤジ、議員立法に不熱心なほとんどの議員、国会論戦の低調等々に眉をひそめている。
そして、「国会議員は一体何をやってるんだ、自分のことしか考えていないんじゃないか」という声を聞かない日がない位、国民の国会(代議政治)への不信感は高まっている。

そこにもってきて、「(今のバラマキ政策を続けると)財政破綻が現実化するので消費税増税をお願いしたい。税率は自民党の10%を参考にしたい。」(民主党)とか、あるいは、「今の社会保障水準を続けるためには消費税10%にすべき。」(自民党)と言われても、なかなか、簡単に、「あなたを信じてついていきましょう」とならないのが現状ではないか。
理屈の問題としては、民主党の論法の方がむしが良すぎるのだが、高まる政治不信の中、まあそんなことはどうでも良く、自民党も民主党も、「消費税10%は同じ。どちらも目くそ鼻くそ。」と思う国民が多いような気がする。

しかも、社会保障をどうするかという問題は、大きな負担を伴う。
多くの国民も、必要な負担なら仕方ないと思いつつあるものの、永田町のセンセイの発言を聞くと、「国会のセンセイ、勝手に消費税10%とは言うけど、払うのは私たちだよ」と思うのも人情で、実は私の生活実感も、どちらかというとこの考え方に近い。
だからこそ、政治に携わる者、ここは謙虚に、国民に選択肢を示し、「低福祉・低負担」なのか、「中福祉・中負担」なのか、あるいは、「高福祉・高負担」なのか、国民投票という形でその判断を仰ぎ、国民とともに考える姿勢を明確にしていくことが必要ではないか。
私は地域を回る中で、「代議政治に対する根強い不信」を払拭するためには、「国民とともに考える国民投票制度」の導入が必要ということを痛感するようになっていった。

実は私は、このような考え方から、自民党のマニフェスト作成前(本年4月)、選挙区支部長に対し意見を求められた際、「将来の社会福祉の財源について、消費税上げを検討する場合には、国民投票制度を構築し、国民の意見を聴く」という内容をマニフェストに盛り込むよう、文書で提案したのだが、容れるところとはならなかった。
党本部が、「責任政党」としての存在感を示すため、「消費税10%」を明確にマニフェストに盛り込みたかった気持ちも分からないではない。
また、憲法改正国民投票法の提出者が昨年の総選挙で全て討ち死に、国民投票制度に関する当時の議論を知る現役議員が皆無になってしまったという事情も分からないでもない。
ただそれにしても、今回の自民党のマニフェスト、少しナイーブ過ぎたのではないか。
私個人としては、現在の政治不信、わけても、かつての自民党政治に対する不信ということを考えると、税率をどれくらいにすべきか、また、税率を上げるのか否かという点も含め、国民投票に付し、国民とともに考え、国民の判断を尊重する姿勢を明確にした方が良かったと、今でも思っているし、これからも意見を発信していくつもりだ。

以上述べてきたように、今回の菅首相の消費税上げの提案は、社会保障費が足りないことを理由としているが、その実、「第3の道」と称する財政出動による財政悪化の穴埋めになりかねないという、極めて安直で、危険なものだ。
私たちは、「国民とともに」の視点を忘れることなく、もっと真面目に、日本の財政と社会保障の将来像を考えていく必要があろう。