「土地収用に関する勉強会」

2004-6-10

~公共事業は何故コストが高いのか~

4月から国土交通委員会に所属し公共事業等の勉強をしているが、この公共事業関係予算について、最近、2つの役所から正反対にとれる説明を聞いた。

まず財務省主計局、「日本の公共事業予算比率は、諸外国に比べて高い。」。

次に国土交通省道路局「日本で一年間に建設されている道路の総延長は、他の先進諸国と比べるとむしろ少ない。」。

いったいどちらが正しいのだろうか。実は、両方の説明は、いずれも正しい。

このような、お金がかかる割に社会資本の整備が進まないという、いわゆる「高コスト」構造は、いったいどこから来るのだろうか。私の考えるところ、その要因は3つほど挙げられるように思う。

1つには、「談合による入札価格つり上げ」という悪しき慣行が存在したことがあげられよう。言ってみれば業者の問題である。ただ、この問題に対処するため、この数年、入札制度の改革が急激に進んでおり、最近ではむしろ、原価割れの低価格落札と手抜き工事の問題の方もクローズアップされるようになってきている。

2つには、我が国の地形的な問題もある。山がちの我が国で、道路等の社会資本を整備する場合には、トンネル、橋梁、砂防施設、よう壁等の工作物を設ける必要が生じる。これは、日本という山国が生まれついて持っている問題と言える。

3つ目が、土地収用の問題である。社会資本の整備のためには、当然用地買収が必要になる。ところが、我が国の地価は、すでに下げ過ぎたとはいえ、諸外国と比べると高い。これが公共事業の金銭的コストを押し上げる要因となっていることは言うまでもない。そして、公共事業予算の諸外国との比較に当たっては、財産権への補償(社会保障?)の性格を持つ用地買収費を除いて比較しないと、社会資本整備に要した予算の比較ができないのではという気もする。

また、諸外国では、土地所有者の立ち退き、換地等が戦略的かつ迅速に行われるのに、我が国の用地買収は遅々として進まないと言うことが言われるが、土地収用の問題は、公共事業の時間的コストを押し上げ、ひいては我が国の国際競争力をそぐ要因となっていると言えなくもない。

このような関心から、この6月10日、一年生議員の中でも、国土交通委員会所属議員等を中心に、数人の議員に声をかけ、「土地収用に関する勉強会」の会合を持つこととした。今後さらに勉強を重ねていきたいと思っている。