「国造りの主役は若者」~毎日新聞・「論点」に成人年齢引き下げについて寄稿

2007-6-30

毎日新聞で「国造りの主役は若者」と主張

平成19年の通常国会において成立した、わが国の歴史の分水嶺となる法律は何かと問われれば、多分、後世の歴史家は、それは年金法案でも、公務員改革法案でもなく、「憲法改正国民投票法」であったと回答することになるのではないか。
私は、憲法改正国民投票法案の提出者の1人として、野党からの質問通告なしの、緊張感のある委員会で答弁させていただくなど、大変な勉強をさせていただいた。そして、法案成立後は、少し休ませてくれるのかと思っていたが、それがそうでもない。
法律が成立した途端、北朝鮮人権法改正案とりまとめ、コミュニティ基本法策定の提言とりまとめ、中央省庁再々編の方向性のとりまとめ、刑事司法をかじった立場からの年金問題へのコミット、畜産酪農小委員長としてのミートホープ問題や飼料価格高騰問題への対応等々、続々と課題が降ってきている。
そして、正直、つい1月半前の国民投票法の成立が、何か1年も前のことのように思えるときもあるが、憲法問題は、わが国の将来を決める問題であり、常に忘れてはいけないと自重自戒している。
だから、6月29日には、毎日新聞の依頼に応じ、国民投票法に規定された成人年齢の引き下げについて、次のような寄稿をさせていただいた。「国造りの主役は若者」
~政治的モラトリアム人間の誕生防止を
憲法など教育のあり方の再構築が必要

私は、今回の国民投票法案の提出者の1人として、今後3年間で、成人・選挙権年齢を18歳に引き下げるという提案をさせていただいた。
「成人年齢20歳」は、明治29年に定められたが、国立国会図書館の調べによると、調査対象となった世界185の国・地域のうち(国連加盟は192)、18歳成人が、162に達している。
ただ、この論議は、こういった世界の趨勢云々よりも、わが国独自の観点から考えるべき問題と思う。実際、法案作成の過程でも、「わが国の少年は、他国と比べて幼い面があるので慎重に」といった意見も多数寄せられた。
そこで、2点ほどポイントを指摘したい。
第1は、本格的人口減少社会の到来。人口・経済とも右肩上がりの時代は、「あらゆる世代にやさしい」政策をとることができた。しかし、これからの政治の現場では、「児童福祉か、老人福祉か」、「若年者雇用重視か、定年延長か」といった、ある意味で究極の、世代間の利害調整をする必要も生じよう。その中で、現行法体系上も労働力として認められている18歳以上の国民の意見が、国政に反映できるシステムを作っていくことは、やはり必要だ。
第2は、日本が新たな時代の荒波を乗り切るためには、若者を中心に「新しい国は自分が創る」という意識を持つことが大切ということ。
自民党には、1人として、日本を「戦争をする国」にしようと考えている者などいない。ただ、国民の1人1人が、本音で国の将来を語り、決定できないような国は、早晩滅びてしまう。だからこそ我々は、国民を国造りの主人公にするため、国民投票法の成立に全力を尽くしてきた。
そして、戦後60年間、日本国民には、憲法改正という究極の国造りに参加する道がなかった。このままでは、「大切なことを自らの責任で決める」ことを億劫がる、政治的「モラトリアム人間」を生み出しかねないし、もう生み出しているのかも知れない。
わが国の十代は、学力は世界トップクラスだが(最近少し怪しい)、政治的に幼稚と言われることがある。やはり、このような風潮に一石を投じることが必要だ。
数十年先の国の姿を決める憲法改正こそ、本来、若い世代に積極的参加を促さなければならない。その意味で私は、今回、成人・選挙権年齢の問題に手をつけずに済ますよりも、18歳で政治的・社会的に大人になることを明確にすることがベターと考えた。そして、これを契機に、義務教育段階からの憲法教育のあり方などを再構築すべきだ。
また、関係法令の整備等、これからの課題も多い。
私は良く中学・高校の入学式で、「皆さんは毎年成長する。14歳で刑事責任年齢になる。15歳でバイトができる。16歳でオートバイ免許がとれる。18歳で自動車免許がとれる。19歳でサッカーくじが買える。20歳で成人。毎年心も新たに勉強して下さい。」とあいさつする。
このように、日本の法体系は複雑だが、しっかりした作業を行っていきたい。