客観的議論の上に公正かつ透明な制度の構築を~「政治とカネ」巡り予算委質疑

2007-10-27

予算委で福田総理に質疑

10月11日の衆議院予算委員会。
予算委員会の基本的質疑3日目のこの日、私は、自民党のトップバッターとして、福田総理らに対する質問に立った。
私の質疑は、当日夜のTVニュースにもとりあげられたほか、翌日の朝刊では、ほとんど全紙に、「<小沢代表>領収書あて名書き換え岩手の民主党支部」(毎日)、「衆院予算委『政治とカネ』で与党逆襲も」(産経)などの見出しが踊った。
ただ、私は、この質疑を通じ、特定個人の揚げ足を取る考えも、まして、「小沢代表の領収書改竄問題」を追求する考えもなかったことは、質疑のインターネットTVを見ていただければ、一目瞭然だと思う。
http://www.shugiintv.go.jp/jp/wmpdyna.asx?deli_id=36810&media_type=wb&lang=j&spkid=7004&time=00:09:02.4
「政治とカネ」の問題は、とかく感情論が先行し勝ちだ。

もとより、国民に信頼される透明な制度の構築は必須だが、会計処理上も許容の範囲内で、法的にも問題のない事案をことさら大きく取り上げ、追及対象となった政治家を貶めるような報道などの姿勢は、必ずしもフェアではない。実は、私の質問の前日、民主党の馬淵澄夫議員が、福田総理を支部長とする自民党群馬県第4選挙区支部の政治資金収支報告書について、次のような報道を取り上げ、予算委員会で追求した。
○まず、添付された領収書の宛先が、もともと「福田事務所」、「福田事務所職員の個人名」となっていたのに、わざわざこれを二重線で消し、「自民党群馬県第4選挙区支部」のゴム印を押し、収支報告書に添付していたことは、「領収書の改竄」に当たるという報道がなされたこと。
○平成17年総選挙の公示直前に、福田総理の支部が、公共工事を受注している会社から政治資金の寄附を受けたとの記載があるが、これは、候補者が公共工事受注業者から選挙資金の寄附を受けることを禁止した公選法違反の疑いがあるという報道がなされたこと(実際には違法性はない。)。
私も委員会室で直接この質疑を聞いていたが、「政治とカネ」の問題を国会で追及するとしたら、率直に言って、もっと大きな問題を取り上げるべきではないかという印象を受けた。

まず、「領収書の修正」問題。
例えば、政治家の事務所が、政党活動の中で、事務所としての買物をして領収書をもらう場合、事務所員個人名宛の領収書を受け取ることも、よくある話だ。
また、そもそも、量販店のレシートには、宛先すらない。
ただ、これらのお金は、その政治家の「政党支部」の予算から出ている。
政党支部からの選挙管理委員会に対する報告は「公的報告」で、真面目な会計担当者であればあるほど、原本は、「事務所員」個人宛の領収書ではあったが、実際は政党活動の一環としての支出であったことを明示するため、中には、わざわざ、もともとの宛先も読めるように二重線で消し、新たな宛先を「政党選挙区支部」とゴム印で押した領収書を、選挙管理委員会に報告するという場合も出てくるかもしれない。
これが「改竄」と非難されるべき話なのだろうか。
もっとも、福田総理も人間ができている、「事務的な修正が国民に疑念を生じたとしたらまことに遺憾」と、極めて紳士的な答弁を貫かれていた。
でも、このような問題で、延々と国会審議が行われるのは、決して生産的でない。
そこで、翌日質疑に立った私は、「私が調べたところ、『民主党岩手県第4選挙区総支部(支部長小沢一郎衆議院議員)』という政党支部があるそうだが、その支部の政治資金収支報告にも、本来の宛名を2重線で消して同支部宛のゴム印に修正したものがある。このほかにも多数の例がある。与野党とも、良心的会計担当者がいるという印象を受けた。」と、やんわり指摘させていただいた。

次に、公共工事受注業者からの献金問題。
実は、この問題は、平成17年2月の衆院予算委員会でも取り上げられ、その質疑を通じ、「政党支部が、政党の政治活動のために、公共工事受注業者から献金を受けたとしても、献金の時期が選挙に近接していたとしても、公選法違反ではない」という見解が、内閣として示されている。
したがって、「公選法違反の疑い」と決めつけるような報道、質問は、明らかに誤解を呼ぶ。
勿論、現行法上違法性はないということと、今後、真に国民の信頼を得ることができる制度をどう構築するかという問題は、全く別問題で、福田総理も、そのことを念頭に、馬淵議員の質問に対し、決して開き直ることなく、よりよい制度を議論していこうと答弁されていた。
この点も、翌日の質疑では、私から、平成17年2月の予算委員会での審議の内容を紹介し、福田総理の政党支部が違法性のあることをしているという事実はなく、今なすべきことは、これからの制度構築のための前向きの議論であることを訴えさせていただいた。

その他、この日の質疑では、今後解決すべき課題として、ベールに包まれた労働組合による政治活動の問題など、多岐にわたる論点を取り上げたが、その紹介は他の機会に譲る。
いずれにせよ、「政治とカネ」の問題については、私達の責任で、客観的な議論を行い、公正、かつ、透明性のある制度を構築していかなければならないと思う。