予算委員会質疑が全国にTV中継(2)~庶民感覚を大切に難局に当たらなければ

2009-5-28

庶民感覚が大切・予算委員会代表質問

私ごとではあるが、5月7日の予算委員会代表質問の前日夜、東京在住の私の実父、渡邉武治が、87歳でこの世を去った。
私は、現在国会議員として国政に携わっているが、実父は、全くの市井の町医者、患者さんが来ても、「大した病気じゃない。薬は要らないから帰りなさい」式の、大正生まれの頑固者だった。
そして、いわゆる戦中派特有の、良く言えば倹約、悪く言えば貧乏性の人間で、位階勲等などとは、全く縁のない人物だった。
もとより、1日でも長く生きて欲しいというのは肉親の情だが、それでも、私を含め4人の子供が看取る中で息を引き取ることができたこと、さらに、昨年10月まで、近所の方から「先生、続けてくれ」とせがまれ、現役で開業医を続けられたことは、本人だけでなく、遺族にとっても大変な幸せで、皆様に心から感謝している。
翻って、私の義父、葉梨信行は、当年80歳になるが、衆議院議員時代を通じ、常磐線での電車通勤を通し、お金や利権には全く縁のない代議士で、そういった庶民の政治家だったからこそ、私自身、敢えて「2世議員」への攻撃は覚悟で、義父の政治姿勢に惹かれ、その後継として政治家の道を選ぶ決断ができたものと思う。
実父の死を機に、私は改めて、政治家こそが、庶民感覚を大切にしなければならないという決意を新たにしている。

5月7日の質疑は、前日ほとんど寝ることはできなかったが、そんな思いを胸に、公務員の給与の問題や、社会保険庁のケジメの問題に踏み込んだ。まず、国家公務員給与の問題。
これまでのコラムでも述べたが、世界的な経済危機を受け、この夏の民間企業のボーナスは、前年比1割以上の減と、大変な状況にある。
ところが、昨年のペースで、人事院勧告(8月11日)及び給与法の国会提出(12月2日)が行われた場合、国家公務員については、夏のボーナス(6月1日が支給基準日)も冬のボーナス(12月1日が支給基準日)も、一切減額できないというヘンテコなことが起こってしまう。
そうなった場合、もしかしたら官公労の皆さん(民主党の支持母体)は喜ぶかも知れないが、国民からは非難囂々(ごうごう)、ワイドショーの格好のネタになり、政治や行政への信頼が大きく傷つくのは目に見えている。
すなわち、もしも、本年6月30日(夏のボーナス支給日)、公務員は前年通り、民間は前年比大幅減のボーナスとなった場合、その日のTV、翌日の新聞各紙1面に、「公務員ボーナスは前年通りでウハウハ、民間は1割以上カット!!政府与党は何をしてきたか!!」といった記事が載ることは必定だ。
だからこそ、私は、この2月来その危険性を指摘、3月には自ら座長になって、与党・国家公務員給与検討PTを立ち上げ、人事院の臨時勧告がない場合には、議員立法によってでも、この夏の国家公務員ボーナスを民間並にカットする準備を進めてきた。
この過程で、私たちも、国会の委員会質疑の場などを通じ、人事院に対し意見を申し上げてきたが、このような意見を勘案し、人事院として独自の作業を進められたと思うが、5月1日に、国家公務員の夏のボーナスを約1割カットするという、臨時の人事院勧告を行う運びとなった。
ただ、この人事院勧告が、私たちの「政治的圧力に屈した」と、今、一部労働組合から批判されている。
私たちは、まさに庶民感覚を大切にする観点から検討を進めてきたのであり、人事院も、このような動きに呼応しただけのこと、そこには、「密室の圧力」などということがあり得ようはずがない。
この日は、人事院の谷総裁から、「現下の経済状況にかんがみ、人事院として公平な判断を行った」と、しっかり答弁して貰った。
そして、この答弁に対し、私が、「麻生総理や甘利大臣の言うこともきかないと言われている谷総裁ですから(内閣人事局の問題で対立があったと報じられた。)、私の話などきくはずもないのであります。」と返したら、委員会室は爆笑の渦に包まれた。
なお、その後、5月19日には、私が事務局次長を務める自民党・党改革実行本部において、国会議員の夏のボーナスを2割カットとすることを決めたことを付言しておきたい。

次に、社会保険庁のケジメの問題。
社会保険庁については、来年1月に、後継組織である「日本年金機構」が発足するにもかかわらず、いわゆるヤミ専従問題、年金の標準報酬月額の改竄問題等、過去に社保庁職員が犯した不祥事の精算は、遅々として進んでいない。
65年間の社会保険庁における悪しき労使慣行の病弊は、年金・給与記録改竄などの犯罪的行為を拡大再生産してきたように見える。
となると、本格的な事案究明のためには、社会保険庁の組織解体・不適切な労使慣行の解体こそ必要ということになるが、これに対しては、労働組合などから、マダマダ大変な抵抗があろう。
その一方、今、社会保険庁は、年金特別便、定期便等による年金記録の訂正作業にも大変な精力をつぎ込まなければならない。
従って、来年1月の日本年金機構の発足までに、これまでの社会保険庁職員不祥事の調査を完了するのは、もはや絶望的だ。
実は、昨年7月に、社会保険庁時代に懲戒処分を受けた職員は、後継組織である日本年金機構に採用させないことが閣議決定されている。
それにもかかわらず、日本年金機構に採用された後に、社保庁時代の不祥事が明らかになるだろう職員がごまんといることになるわけで、このままでは、彼らをヤメさせるすべがないことになってしまう。
これでは余りにバランスを欠くことになる。
そこで、私は、昨年5月に自民党のプロジェクトチームを、本年3月に与党プロジェクトチームを立ち上げ、日本年金機構に一旦採用された職員であっても、社保庁在籍時に不祥事を犯したことが発覚した場合には、これを解雇する議員立法を、4月24日、衆議院に提出したわけだ。
この日の質疑では、舛添厚生労働大臣から、過去の不祥事を年内に調査することが極めて厳しいとの答弁を得、さらに、麻生総理に対し、年金の事務処理体制に対する信頼回復に向けた決意を問うた。

このように、公務員のボーナスの問題、社会保険庁職員のケジメの問題など、私たちは、まさに庶民感覚を大切にしながら、政策を進めなければならないと思う。
今回の臨時の人事院勧告にしても、まさに私たちの真剣な思いが、人事院の良心と共鳴したものではないか。
でも、この日の質疑でも申し上げさせていただいたが、このような庶民感覚を踏まえた議論が、何故我々与党から提議され、民主党から出てこないのか、国民の皆さんには良く考えていただきたいと思う。
私たちは、いわゆる天下り問題も含め、今、「官」の大改革に乗り出している。
次にも紹介するように、公務員の労働組合からの指令かどうか分からないが、私たちの提案に、奥歯に物の挟まった物言いしかできない民主党に、どうして霞ヶ関の改革ができるのだろうか。

すなわち、5月21日の人事院勧告に関する総務委員会質疑、5月26日の国家公務員給与法に関する総務委員会質疑では、4人の民主党議員が、私の実名をあげ、あるいは、私のHPを引用するなどして、人事院に対して当たり前の物言いをした私の仕事が、「極めて問題」であるかのように非難する質疑が繰り返された(衆院インターネット中継で閲覧可、民主党の本質が分かって大変面白い)。
私も総務委員だが、この質疑を聞いていてびっくりした。
とても国民に聞かせることができる質疑ではない。
どうも民主党は、政府与党への非難はし放題だが、自民党の国会議員には、院内外での発言の自由を認めてくれはしないようだ。
自らに優しく他人に厳しい民主党には、国民本位とか、民主主義とかいったことを、今一度勉強して頂きたいなという気がする。

霞ヶ関改革は、私たちがしっかりとやっていく。