つくばエクスプレスの東京駅延伸の検討を進める~利用・建設促進議員連盟を主催

2015-6-14

TX議連総会を主催

平成27年6月3日、私が事務局長を務める「つくばエクスプレス(TX)利用・建設促進議員連盟」を開催した。
秋葉原・つくば間を結ぶTXは、平成17年の開業後今年で10年となるが、途中、東日本大震災の原発事故に伴ういわゆる「ホットスポット問題」などもあったが、幸い順調に乗降客数を伸ばし、平成25年には、1日当たりの輸送人員が32万4千人となり、全国的には人口減少自治体が大半となる中、TX沿線自治体は人口増加が続いている。
そのTXの今後の課題となっているのが、秋葉原から東京駅への延伸問題だ。TXの東京駅への延伸については、TXの1日当たりの輸送人員を27万人と仮定した上で、平成12年の運輸政策審議会の答申で、「今後整備を検討すべき路線」として位置づけられた。
そして、TXの輸送人員は、予想を上回る伸びを見せ、平成20年には25万7千人と、その翌年には27万人達成が確実となった(ちなみに平成21年は、27万300人。)。
このため、平成21年6月、TX利用・建設促進議員連盟の総会を開き、TXの利用の促進と沿線の都市基盤の整備を促すとともに、TXの東京駅延伸に向けた具体的事業スキームの検討を行うよう、決議を採択した経緯がある。
ただ、その後民主党への政権交代があり、公共事業費も2割近く削減されるなど、TXの延伸問題への政治的取り組みは、約3年半の間、休眠状態となる。
さらに、2007年から始まった人口減少問題がさらに深刻化するとともに、東日本大震災が発災し、デフレ経済からの脱却も全くめどがたたないなど、新たなインフラ整備を議論しようという雰囲気も失われつつあった。

そんな中、平成24年12月、自民党が政権奪還を果たし、私も国政に復帰した。
安倍政権は、矢継ぎ早に成長戦略を打ち出し、真に必要な社会的インフラは、しっかりと整備する姿勢を明確にする。
そのインフラ整備の中で取り上げられたのが、「成田~新東京駅~羽田」を結ぶ「都心直結線」だ。
平成25年6月14日に閣議決定された「日本再興戦略」においては、「都心と両空港とのアクセス改善に向けて、都心部における大深度地下の利用などによる都心直結線の整備に向けた検討を進める。」と明記される。
大深度地下の新東京駅を建設することとなれば、つくばエクスプレスの東京駅への乗り入れ(これも大深度地下が想定される。)工事を並行して行うことで、コストを大幅に削減した上、経済効果の高いインフラ整備に資することが見込まれる。
このように、TXの東京駅延伸の検討は、ようやく息を吹き返す。

これに併せて、私は、TX議連を再開することとし、まず、平成25年6月の議連では、国土交通省から、都心直結線とTXを併せて整備する方が、別々に整備するよりも大幅なコスト削減となる旨の説明を受けた後、同省等に対し、都心直結線の具体化に向けた作業を進めるよう促した。
また、平成25年11月の議連では、今後の具体的な検討のためには、何よりもエビデンスが必要となることから、首都圏新都市鉄道株式会社などに対し、延伸の場合の的確な需要予測を行うよう促した。

もっとも、成田と羽田を結ぶ「都心直結線」は、平成32(2020)年の東京オリンピック・パラリンピックのために建設されるのではと誤解する向きもあるが、結論から言うと、そもそも平成32年には間に合わない。
理由は、大深度地下の新東京駅の建設工事(数千億円?)自体に10年の月日を要するからで、位置づけとしては、東京オリンピック・パラリンピック後の「インフラ整備の大玉」ということのようだ。
ということになると、TXの延伸も含めた新東京駅の実現は、どんなに早くても平成42(2030)年以降で、相当息の長い話だ。
さらに、同年には、わが国の人口は現在よりも約1200万人減少することが予想されており、それに向けた綿密な需要予測も必要だ。

いずれにせよ、今後の人口減少も織り込んだ鉄道整備の在り方を考えることは喫緊の課題で、平成26年4月、国土交通大臣から交通政策審議会に対し、「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について」の諮問がなされ、検討が進められることとなった。

この度、議連総会を開催したのは、交通政策審議会の議論が、各論に進み、この夏には鉄道事業者等からのヒアリングを実施する時期をとらえてのことだ(答申は本年度末の見込み)。
また、審議会では併せて、平成42年に向けた需要予測のモデルについても検討しているということで、その概要も聴取した。

議連としては、
○本年度末にも予定される交通審議会の答申において、TX東京駅延伸が、さらに前向きに検討されるよう適切に位置づけられること。
○都心直結線による新東京駅の整備とTXの東京駅延伸は不即不離の関係にあり、東京都が事業スキームの話し合いのテーブルにつきやすいよう、新東京駅建設の開発メリットを具体的に検討すること。
などを国土交通省等に要請し、さらに、
○今後計画を前に進めるためには、将来の需要予測が不可欠なことから、新たな需要予測モデルが策定された後、速やかに、延伸の場合の詳細な需要予測を行うこと。
などを首都圏新都市鉄道株式会社に要請、需要予測を行う旨の確約を得た。
その上で、沿線自治体の皆様にも、平成42年以降も、通勤人口を確保し、増加させるような、将来を見越した街づくりを行っていただくよう強くお願いした。

次回以降は、一定のエビデンスに基づき、TX東京駅延伸の経済効果等について具体的な議論を行い、作業を前に進めていきたいと思う。