衆議院法務常任委員長に就任~参議院通常選挙までの法案のかじ取りを委ねられる

2016-1-4

常任委員長は国会開会式で正装にて天皇陛下をお迎え・お見送りする

1月4日、第190回国会(通常国会)が召集され、最初の衆議院本会議(院の構成を決める。)において、私は、法務常任委員長に選任された。
昨年10月まで務めた法務副大臣兼内閣府副大臣に引き続き、今回は院において、重責を担うこととなる。
併せて、昨年10月に就任した自由民主党副幹事長の職も続投する。これは一般的にはないことだが、幹事長が兼務を認めたときは、可能となるようだ。
ただ、今期の副幹事長の中で、院の常任委員長を兼務しているのは私1人。
もっともこれにはいくらか事情がある。
「法務委員会」というと、何か小難しく、また、地味なイメージを持たれがちだが(実際、審議の内容は法律実務の詳細にわたることが多い。)、法案審議・処理という面では、極めて多忙な委員会だ。
しかも、前国会からの積み残し法案が非常に多いという課題がある。

まず、量的な課題。
前の第189国会に政府が提出した法案は75本、うち66本の法律が成立した。
成立率88%ということになるが、未成立の法案が9本あり、そのうち6本が法務委員会の法案だ。
これに加えて、毎年のルーティーンだが、裁判官給与法、検察官給与法及び裁判官定員法という3本の法案審議も加わってくる。
さらに、最高裁の違憲判決を受けた民法の婚姻期間関連の法案もどう審議していくかという課題もある。
いずれにせよ、審議すべき法案が極めて多い委員会であることは間違いない。

次に、質的な課題。
前国会で積み残しとなった法案は、実はいずれも、国民生活に極めて密着した法案だ。
刑事司法の抜本改革を内容とする刑事訴訟法の改正案こそ衆議院を通過したが、現在参議院で継続審議となっている。
また、わが国が本格的な人口減少社会を迎える中、外国人材の活用について、国民的な議論を行っていくことが必要だ。
そして、国際貢献のために外国人の技能実習生の受け入れ拡大を図るとともに、介護福祉士などの専門資格を取得した外国人留学生の就労機会の拡大を図ることは、国民的議論を進める上での大きなエビデンスとなるはずだ。
これに呼応する技能実習法案、入管法改正案は、いずれも実質審議に入っていない。
さらに、国民生活に密着しているという意味では、民法の大改正がある。
経済取引のルールを、今までの判例の集積でなく、しっかり明文化していくことは、海外からの投資を促進するためにも極めて重要だ。
その上で、今回の改正案は、飲食店におけるいわゆる「つけ」の消滅時効を、現行の1年から5年にしようというわけだから、当然国民生活に大きく関連する。
このほかにも多くの法案があるが、いずれも国民生活に密着した法案であるだけに、内容のある審議を心がけていかなければならない。

第3に、国会会期の問題。
本年7月には、参議院議員通常選挙が執行される。
国会の会期は6月1日まで、現在のところ延長は想定されていない。
このようなタイトな日程の中で、先に述べた諸課題に対処し、院としての責務を果たすには、かなりの汗をかかなければなるまい。

このように、元法務大臣でもある谷垣幹事長の指名により、今回法務常任委員長の重責を担うことになったわけだが、国家国民のため、しっかりとした仕事をしていきたいと思う。