肉・ミルク・卵の安全保障~自民党・畜産酪農対策小委員会委員長に就任

2006-1-30

1月27日の自民党総合農政調査会。

畜産・酪農小委員長の就任挨拶

私は、調査会に置かれた3つの小委員会(農業基本、畑作、畜酪)の1つである、「畜産・酪農対策小委員会」の委員長に指名された。
次に述べるように、この委員会の職責は重い。
役者不足であるが、選んでいただいた皆さんの期待に応えられるよう、しっかり仕事をしていきたい。
実は、畜産・酪農関係では、国の本予算とは別に、輸入肉の関税などを原資とする関連対策事業(数百億円規模)がある。その具体的対策を、実質的に決めていくのがこの委員会だ。
また、委員会は、年度における事実上の牛乳の生産枠なども決めることとなるので、いきおい、委員長ポストは、全国の畜産・酪農関係者から、極めて注目されることになる。
ただ、茨城県自体は大畜産県だが、私自身の選挙区内の畜産・酪農農家は、全部で200票足らず。決して票のための仕事ではない。
でも、この数年、廃業しようかと悩む地元酪農家の話を直接聞く中で、食(料)の安全保障と食(品)の安全確保という、生産者・消費者双方に共通する観点から、畜産・酪農対策を考えていかねばならないことを痛感するようになっていった。さて、もともと、「畜産・酪農対策小委員長」のポストは、畜産・酪農関係者の死活問題を決定する役割を担っている上、各方面の利害調整を必要とするため、最近では、農林関係議員のうち、各省政務官経験者(衆院では3期生が標準)が就く慣例だった。
だから、酪農地帯・道東出身の武部幹事長(元農水大臣)に、2期生なりたての私が指名されたことを報告すると、「ずいぶん出世したな。しかもあそこは出世コースだ。」と冷やかされた位だ。
いずれにせよ、大変有り難いことだ。

そして、他の農業分野同様、畜産・酪農関係も、課題は山積。
その中でも、2つの「安全」の確保が重要だ。

その1つは、「食料安全保障」の確保。
重要なタンパク源である食肉と、「完全栄養食品」であるミルクと卵を、国内において、いかに安定的に供給し、自給力を高めるかということは、「食料安全保障」上、極めて重要な課題だ。

ただ、畜産・酪農製品の場合、見かけ上は国産のように見えても、飼料を輸入に頼っていては、どうしようもない。
そこで、飼料の自給化対策が極めて重要になる。

加えて、安定的な製品の供給という意味では、単なる補助金漬けでなく、やる気と競争力のある農家を育てるための施策を充実させなければならない。WTO交渉の行方も気になるが、そうしなければ、いずれせよ、国際競争の中で生き残っていくことができない。

さらに、特に乳製品については、消費の計画的拡大が急務だ。牛乳は、雌牛から絞られるだけに、一旦雌牛を処分して生産を落としてしまうと、すぐに増産ができる性質のものではない。
食肉・鶏卵ともども、消費者のニーズも踏まえ、国産品の消費拡大に知恵を絞っていかなければならない。

その2つは、「食の安全」の確保だ。

昨年来、茨城県の鳥インフルエンザ問題、BSE絡みの米国産牛の輸入停止問題など、「食の安全」に関わる事件が相次いでいる。
思えば、今、酪農関係で問題となっている脱脂粉乳の過剰在庫も、直接の引き金は、雪印乳業の不祥事による消費の冷え込みだった。
このように、「食の安全」の観点は極めて重要だ。

まず、茨城県の鳥インフルエンザ問題については、家畜伝染病に対する安全面と、養鶏農家の経営安定という2つの観点から、納税者にも納得のいく、緊急の対策を講じていかなければならない。
先の自民党・鳥インフルエンザ対策本部でも、私は、「畜産・酪農小委員長内定者」として、早速にその責任者を仰せつかった。

さらに、米国産牛の問題についても、政府には、米国が納得のいく再発防止策を示さない限り輸入再開を認めないという、毅然たる対応を促すとともに、この問題を他山の石として、わが国の畜産・酪農製品の一層の「食の安全」の確保に取り組んでいかなければならない。
そうしなければ、消費者からソッポを向かれてしまう。

このほか、糞尿処理などの環境対策等々、まさに課題山積だ。
2月中には、委員長として、代表的酪農地帯である北海道、大消費地東京に近接した関東、肉牛の伝統を担ってきた九州などの産地を視察、直接現場の声を聞きながら、「肉とミルクと卵の安全」の問題をしっかりと考えていきたい。