「探偵業法」特別セミナー開く~政治家のセミナーとして珍しい試み

2006-11-28

4時間半に及ぶ講義の模様

11月23日の勤労感謝の日、東京都内で、私が主催する「『探偵業法』出版記念特別セミナー」が持たれた。
私が講師となって、午後1時半から午後6時まで、本年6月に成立した「探偵業の業務の適正化に関する法律」のねらいやポイントについて、詳細な解説を行い、その後懇親会。
北は北海道から南は沖縄まで、全国の探偵さんたち約400人が、このセミナーを受講するために参集。
これだけの数の「探偵」が、全国から集まったのは、この業界始まって以来のことという。
また、国会議員が自分で法律を書き、かつ、その逐条解説書を著し、さらに、これを解説するための研修会(セミナー)を開催するというのも、やはり極めて珍しいことだ。
今日は、祭日に、何でこんな研修会を開催することになったかについて書いてみよう。「探偵業の業務の適正化に関する法律」の立法作業については、これまで何回か、コラムで書いてきた。
浮気調査などの素行調査、家出人調査などの所在調査を行う「探偵・興信所」は、全国に約5000あると言われている。
そして、離婚や家出人の増加というトレンドを反映するなどして、「探偵・興信所」の業者数も、最近5年間で、1.5倍に増加しているという。
これに伴い、「探偵・興信所」が、盗聴・盗撮などの違法な調査手法を用いることによるトラブルや、契約者との間のトラブルも、相当数に上っており、国民生活センターや警察庁によれば、これも年々増加している。

ところが、今まで、「探偵業」を規制する法律はなかった。
ただ、このような事情を考えると、「探偵業」に関し、消費者の保護を図るとともに、調査の対象となる方の権利の保護を図るための立法措置は、すぐにでも必要だ。
このため、私達は、自民党内にワーキングチームを置き、規制のあり方を検討してきた。

もっとも、この法律、その立法過程で、役所の方が余り積極的でなかったこともあり、途中からは、私が、国会議員の立場で、法律の組み立てや条文案の作成作業を行うはめになった。
これが、本年に入り、衆議院内閣委員会の与党理事らの努力で、私たちが作成したもともとの自・公原案に対し、微修正が加えられ、衆議院内閣委員長提案の法律案となり、6月2日、全会一致で、その成立を見たわけだ。

このように、探偵業法は、政治主導の立法という経緯を踏まえ、行政命令である政省令への委任も、必要最小限に止めており、また、性格上、役所の方が、法律の解釈基準を示しずらい面もあった。

立花書房刊「探偵業法」

このため、法律の成立直後から、私のところに、関係者の皆さんから、「解説書」の執筆を求める声が強く寄せられ、筆無精の私も、164回通常国会閉会後、その執筆に当たってきた。
それが、今回立花書房から世に出ることになった「探偵業法~立法までの物語と逐条解説」(258ページ。税込み1800円)だ。

11月23日の研修は、私の著書をもとに、探偵業法の実務を踏まえ、詳しい解説を行わせていただいた。
そして、たった20条の法律とはいえ、全く新しい法律であり、解説には、どうしても半日程度の時間を要するため、国会日程のない祭日の開催となったわけだ。
だから、一応政治資金パーティーという形式はとったが、「パーティー券を売るよりも、たくさんの受講者に来ていただく」ことに主眼を置き、懇親会の費用も含めれば、正直申し上げて、余り利益になる催しではなかった。

それでも、この日集まった多くの探偵の方に、この法律のねらいや、立法時の息吹を、直接伝えることができたことは、議員立法に参画した者として、この上ない喜びだ。

私は、今後の国会活動の中でも、今回の探偵業法のように、実体的議員立法を策定する努力を続けていきたいと思う。