いじめ・自殺・教育問題~TV朝日「朝まで生テレビ」に出演

2006-12-17

「朝まで生テレビ」のスタジオのモニター

11月25日の午前1時20分から午前4時20分までの間、TV朝日「朝まで生テレビ」が放映された。
テーマは、頻発する「いじめ・自殺・教育問題」。
私も、自民党衆議院議員として、また、かつて警察庁少年課時代、「いじめ・非行問題」に取り組んだ専門家として、出演をさせていただいた。
出演者は、政治家としては、私以外では、民主党の蓮舫参議院議員と社民党の福島みずほ参議院議員(党首)。さらに、現場の教師、日教組等、専門家の方々で、司会の田原総一郎氏を含め、計14名だった。
極めて重いテーマに対し、3時間という限られた時間。
しかも、出演者のそれぞれが、専門の知識・経験を有しているわけで、正直、入り口の議論でタイムアウトになってしまったという印象ではあった。
ただそれでも、ある程度は、論点を浮き彫りにすることはできたように思う。まず、「いじめの防止」と、「いじめによる自殺の防止」に対しては、別の観点からの対応が必要ということ。

後者の、「いじめによる自殺の防止」について述べる。
これには、私自身も番組で発言したが、対応としては、「学校の危機管理能力の向上」が極めて重要だ。
例えば、「いじめを受けて悩んでいる子」に対して、「強くなれ」というのは、禁句だ。また、この段階では、早期に必要な調査と目に見える対策を施し、悩んでいる子に安心感を提供することも大切だろう。
なお、この番組放映の翌日には、官邸に設けられた「教育再生会議」が、「いじめを行った子」を「出席停止」とする旨の緊急提言を行うという報道がなされたが、現場における「危機管理大勢の整備」は、決定的に重要だ。
もっとも、現場では、教員の資質・能力の欠如が、問題を複雑化している。
いじめっ子と一緒になって子供をいじめるような教員や、「クラスの融和」を重んじる余り、いじめっ子のご機嫌をとるような教員に、危機管理などができるはずがない。
このように、教員の資質向上という課題には、早急に、かつ、本気で取り組んで行かねばなるまい。

また、「自殺防止」という点では、「自殺をあおるような報道」のあり方を指摘する意見も多く出された。この点は私も同感で、例えば「誘拐報道」のように、マスコミの側で、「自殺報道」についての一定のルールを作っていくことも望まれよう。

次に、「いじめの防止」について述べる。
道徳・倫理教育の在り方、従来の日教組の活動の問題等々、いろいろと議論のある分野だ。
事実、この日の番組でも、多方面から意見が出された。
まず、子供たちに「強くなってもらう」ことが必要という意見もあった。
私からは、いじめ被害者に「強くなれ」というのは逆効果だが、一般論として、「子供たちに強くなってもらうにはどうすれば良いか」を考えることは、大切なことと述べさせていただいた。

そして、多くの出演者がその方向性で同意したのは、「いじめは犯罪行為にも等しい悪いこと」と、明確に打ち出していくこと。
もっとも、教育の現場では、「いじめっ子」の方が多数派で、「被害者」が少数派のため、教員は、(勿論悪気はないとのことだが)多数派である「いじめっ子」に迎合しやすいという事情もあるとのことだ。
これでは、「教育(学校)が子供を殺す」ことにもなりかねない。
だからこそ、先に述べた、教員の資質・能力の向上は、喫緊の課題だ。

実は、わが国の国民の規範意識・倫理観は、宗教ではなく、地域共同体の一員であるという帰属意識によって保たれてきたというのが定説だ。
そして、かつては皆が貧しく、共同体に参加しなければ、生活することすらできなかった故、子供たちは、共同体の存在を、いやでも意識せざるを得なかった。
それが今、地域共同体は、ほぼ、崩壊といっても良い現状にある。物質的には、1人で生きていくことも不可能ではない。
その中で、いじめ防止等のため、子供たちに、規範意識・倫理観をもってもらうためには、私は、地域共同体の再生にあわせて、学校教育の中で、地域共同体の大切さを教えていくことが大事だと考えている。
その意味で、先の臨時国会で成立した改正教育基本法が、「地域の共同体、郷土、そしてわが国」を愛する態度を教えることを明記していることは、理念法とはいえ、実は重要なことのような気がする。