北朝鮮問題と議員外交~明年草々厳寒のモスクワへ

2006-12-21

議員外交・日本への支持を求める

12月19日、第165回臨時国会が閉幕、国会も、ひとまずお休みということになる。
その国会の閉幕直前になって、島村宜伸元農相から、来年1月下旬にモスクワで開かれる「アジア太平洋議員フォーラム(APPF)」の議員団に加わって欲しいという要請があった。
APPFは、93年、中曽根元総理の提唱により設立、アジア・太平洋27か国の国会議員が、毎年1月の総会に集うこととなる。
年次総会では、20本強の決議が採択され、わが国も、例年、北朝鮮問題等を中心に、5~6本の決議案を提案しているとのこと。
もっとも、自民党からの派遣議員は、中曽根元総理の主導した会議ということもあり、従来は、どちらかというと、旧中曽根派の議員が多かったという話も聞いたことがあるが、島村団長は、「派閥にこだわらない」ことを明確にされた。自民党も様変わりだ。
そして、明年は、北朝鮮による核実験後初の総会とのことで、私に白羽の矢が当たった。実は、私自身は、「議員外交の推進」ということに、諸手を挙げて賛成しているわけではない。
外交交渉の場で、政府が何らかの主張をしようとしているときに、わが国の議員が、その当事国に行って、わが国政府を非難していたのでは始まらない。
例えば、02年の瀋陽事件(総領事館に入り助けを求めた脱北者を、中国公安が強制的に身柄確保)、非は完全に中国側にあるもかかわらず、わが国民主党は、海江田衆議院議員(当時)ほか代表団を現地に送り込み、当地で、わが国外務省の失態を非難するという暴挙に出た。
こんな「議員外交」が横行したら、それこそ日本は、笑いものになってしまう。

しかし、「北朝鮮問題」、「WTO交渉」など、国民挙げて取り組まなければならない事案については、国会議員は、積極的に外交に関与すべきだ。
なぜならば、日本の政府だけが強硬であるというわけでなく、わが国の国会の与党も、そして野党も、拉致被害者の救出や朝鮮半島の非核化のために、極めて熱心に取り組んでいるということを国際社会に示すことは、国際世論の形成に大いに役立つことになると思うからだ。

その意味で、今年は、特に北朝鮮問題にに関し、私自身が、議員外交の先頭に立った年だった。機会を与えていただいたことに、本当に感謝している。

まず、6月には、北朝鮮人権侵害対処法の成立が確実になったことを受け、韓国を訪問、逢沢一郎幹事長代理(当時)らとともに、韓国のパン・キムン外相(当時)らと会談、拉致問題解決に向けての日韓協力を要請した。

さらに、8月には、モンゴルで開催された第3回北朝鮮人権侵害問題国際議員連盟の総会に、わが国の自民党として初めて公式参加(従来は民主党のみが参加していた)、与野党を超えて、北朝鮮に対する包囲網を作る作業に参画してきた。

そして、去る10月には、ジュネーブで開催された列国議会同盟(IPU)総会に派遣され、北朝鮮の核実験を受け、これに対する非難決議を提案、決議案の起草作業に当たってきた。

このような文脈で、明年1月にモスクワで開催予定のアジア太平洋議員フォーラムにおいては、私に、北朝鮮問題に関する決議を提案し、起草委員会に加わって欲しいということになった。
しかも、ロシアは、北朝鮮問題の6カ国協議のメンバー。
プーチン大統領との会談もセットされていると聞いており、拉致問題も含めたわが国の関心事項を、是非伝えてきたいと思う。

1月のモスクワは、零下30度にはなるらしい。
でも、今、北朝鮮の収容所にいる方々を考え、私も、その「寒さ」を、肌で感じ、良い仕事をしてこようと思う。