再び児童買春・ポルノ処罰法改正に参画~与党PTで法案とりまとめをリード

2008-5-25

与党プロジェクトチームでの発言

5月16日の与党政策調整第2会議室。
与党児童買春・ポルノ処罰法改正プロジェクトチーム(座長・森山真弓・元文相)の第3回会合が開かれ、法律の見直しに向けたとりまとめの議論が行われた。
児童買春行為を処罰するとともに、児童ポルノの販売目的の所持等を禁止する児童買春・ポルノ処罰法は、1999年に成立したが、私は、国会議員になる前、警察庁少年課理事官として、議員立法であるこの法案の制定時の議論に加わってきた。
そして、2004年の見直し時には、衆議院青少年特別委員長代理として、参議院法務委員会で答弁に立たせていただいた。
今回も、森山座長からの要請で、与党PTのメンバーとして、再び、この法律の改正に参画することとなった。
この日のPTでも、この法律が制定されたときの議論の経緯を説明し、いくつかの提案を行った。

さて、今回の改正の主な論点は、「児童ポルノ」を麻薬と同様に位置づけ、単に持っていただけでも処罰すべきか否かという点。私と児童買春・児童ポルノ問題とのかかわりは、かれこれ11年前にさかのぼる。
1997年3月、私は、3年間の在ジャカルタ日本国大使館での勤務を終え、警察庁少年課理事官のポストについた。
その年の5月には、神戸市須磨区で、中学3年の生徒による連続児童殺傷事件が発生、国内的にも、少年問題への世間の関心が一気に高まった。
そして当時、私は、「悪質な非行事案は、強制捜査も辞さず、徹底して解明」することが、結果的に少年の更生につながるとした上、少年が被害者となる犯罪についても、警戒を強めるべきと主張、警察庁の幹部を説得し、警察庁として、「強くやさしい少年警察」というテーゼを打ち出す推進役となった。

さて、その一方、当時、国際的にも、特に、「児童を対象とした買春事案・ポルノ」の撲滅運動が大きな広がりを見せ、いわゆる「児童ポルノ」について、各国で、麻薬並の厳しい法規制がとられ始めていた。
このような趨勢は、当時東南アジアに赴任していた私自身は、ある程度肌で感じることができたが、その時点の日本では、まだまだそこまでの広がりがあったとは言い難かった。
それでも、1996年のストックホルムでの国際会議で、日本が、児童買春・ポルノ問題に甘すぎるという批判の大合唱を受けたのを契機に、1997年秋には、与党(自社さ)内に、児童買春・児童ポルノの規制について検討するプロジェクトチーム(歴代座長は、谷垣禎一・現政調会長、森山真弓・元文相、保岡興治・元法相)が設置され、私が警察庁における対応の責任者となった。

元々私は、子どもが被害者となる犯罪に甘い対応をとったり、児童虐待に寛容な社会では、いつか、「子どもの反乱」が起こり、少年犯罪情勢も悪化する悪循環に陥るという考えを持っている。
だから、1997年10月には、中央教育審議会のヒアリングに呼ばれたのを奇禍とし、委員の間で「児童ポルノ」を回覧してもらい、「このような本が書店に山積みでは、ある意味で非行状勢が悪化するのは当たり前」と論じるなど、各方面で、法規制の必要性を説いたのを憶えている。

児童買春・ポルノ処罰法案の本格的立法作業は、1998年に行われ、従来のわが国の法体系には余りなかったものだけに、いろいろと知恵を絞ったし、また、日弁連との調整などにも骨を折った。
中身的には、「児童ポルノ」について、いわゆる「単純所持」を禁止するのでなく、「わいせつ物」と同様、「販売目的所持等」が禁止されることとなった。
そして結局、この法律は、翌1999年の通常国会で成立したが、私が政治の道に志を立て、警察庁を退官したのが1999年3月だから、私の警察庁勤務時代の、いわば、最後の仕事となったわけだ。

2003年11月、私は、衆議院議員総選挙で初当選を果たさせていただいた。
早速翌年の臨時国会では、与党PTの事務局長だった野田聖子衆議院議員から頼まれ、この児童買春・ポルノ処罰法の改正問題に携わることになった。
この法律は、もともと議員立法で、しかも、施行後3年後の見直し規定があるため、国内外の状況を見据えながら、その見直しについて、議員が判断していかなければならない。
このときは、インターネットの急速な普及という状況を踏まえ、「児童ポルノ画像」の送信等について、必要な規定を置くこととし、「単純所持」については、「先送り」となった。

時の経つのは早いもので、もう、前回の改正後3年以上を経過してしまった。
そして、以上のような経緯からすると、今回は、「児童ポルノ」の「単純所持」について、一定の結論を出していかなければならない。

さて、昨今、わが国における、「子どもを被害者とする犯罪」や「児童虐待」の状況は、目を覆うばかりだ。
何か、「日本が日本でなくなってしまった」という感じさえする。
私の持論である、「子どもを被害者とする犯罪の厳罰化」は、これからも、ことあるごとに訴えていきたい。
そして、加えて、「児童ポルノ」が、「自分の性的好奇心を満たす目的で」所持することが許されるような先進国は、もう、日本だけになっているという現実も直視しなければなるまい。
何とか野党とも協議の上、過剰な取り締まりを招く法規制とならず、かつ、骨抜きとならないようにこの法案をまとめ、わが国が、「子どもを大切にする社会」を目指すという強力なメッセージを、国の内外に示していきたいものだ。