出勤簿改ざん→給与を不正支給!~税金泥棒の社保庁役人に私たちの年金をさわらせてはならない

2008-5-31

社保庁問題でのTBSテレビのインタビュー

5月27日、私が座長を務める「社会保険庁ヤミ専従問題対策ワーキングチーム」の第1回会合。
「ヤミ専従」というと聞き慣れない用語だが、要は、年金記録改竄(ざん)問題などで話題の「社会保険庁」の労働組合の幹部達が、勤務実態もなく、労働組合活動に「専従」していたにもかかわらず、あたかも出勤したかのように出勤簿等を偽造し、不正に、税金から給与をもらっていたという問題だ。
今のところ、東京などで、30人ほど明らかになっているが、このような不正受給は、勤務実態がないことを知りながら給与を支払っていた社会保険事務局・社会保険事務所幹部の手助けがなければできないわけで、労働組合だけでなく、社会保険庁官僚もグルになったいわば、「組織ぐるみの税金泥棒」事件と言うことができる。
ただ、だからこそ、労使ぐるみで「隠蔽」したがるのも無理からぬことで、社会保険庁による実態調査は、遅々として進まない。
さらに、「ヤミ専従関与=税金泥棒」組が、2010年に新たに発足する「日本年金機構」に再雇用されそうな雲行きになってきた。
こんな馴れ合いには、絶対にマッタをかけなれければならない。この「ヤミ専従」問題、昨年秋、総務省に置かれた「年金業務・組織再生会議」が、調査を開始したことに端を発する。
その過程で、明かな「ヤミ専従」が発覚したらしく、労働組合としても事実を認めざるを得なくなり、3月17日、社会保険庁の最大労組、「全国社会保険職員労働組合」の高端委員長は、過去10年間で、自らも含め、27人の組合幹部が、勤務実態もないのに税金から不正に給与を得ていたことを公表した。
ただ、高端委員長自身は、「日本年金機構」へは移らないことを明言したものの、他の労働組合幹部の新組織への移行については「『能力を生かして頑張ってほしい』として、組合として自粛要請する考えはないことも強調した。」(3月17日産経新聞)という。

でも、考えてみれば、「ヤミ専従」問題は、イコール「給与関係書類改竄」問題だ。
彼らの典型的な手口は、いつもは組合活動に専念しているが、1月に1回程度、形式上の勤務部署である社会保険事務所等を訪れ、まとめて1月分の出勤簿に押印、給与を受け取るというもの。
そして、給与を支給する役所幹部も、公文書である出勤簿を偽造するために、月1回役所に出勤(?)するだけの職員であることを知りながら、彼に対し給与を支払うための書類を作成して、国民の税金から給料を支払っていたのだから、責任は重大だ。
前掲の高端委員長の発言が、「(熟達した給与関係書類改竄と労使馴れ合いの)能力を生かして、(新たな年金組織で)頑張って欲しい」という意味だとしたら、これは、国民にとって不幸なことだ。
まあ、自分の給与関係書類を改竄する位だから、これからも、人様の年金記録や給与記録を改竄するのは朝飯前だろう。

そして、その「不幸」が、どうも現実のものになってしまうおそれが出てきた。
実は、「日本年金機構」よりも一足先に、私たちの健康保険を取り扱う「全国健康保険協会」が、2008年10月に発足する。
本年4月、「全国健康保険協会」が、社会保険庁から採用する職員1800人が内定したが、ナントその中に、有名人の年金記録のぞき見や国民年金保険料の不正免除などで、過去に懲戒処分や内部処分を受けた職員が、約2割の388人も含まれていたのだ。
採用自体は、全国健康保険協会設立委員会の判断で、建前上、政治が云々する問題ではないと言えばそれまでだが、勿論、我々としても、この問題をしっかりフォローしていくつもりだ。
ただ、それにしても、この1件は、厚生労働省に任せておいたら、「心を入れ替えた」ことを理由として、「日本年金機構」でもいいかげんな採用が行われ、年金業務の馴れ合い、改竄体質が温存されかねないということを強く印象づけた。

さて、私は、この3月来、自民党の「社会保険庁ヤミ専従=給与の不正受給」問題の調査チームのリーダーとして、この問題の解明に当たってきた。
もとよりこの問題、公文書偽造や詐欺を伴う犯罪行為でもあり、今後もしっかりとした調査を進めるつもりだ。
ただ、その1方で、今年の10月には、社会保険庁の後継組織である「日本年金機構」の職員募集が始まってしまう。
年金業務への国民の信頼を回復するためには、この機会に、ヘンな職員を紛れ込ませないこと、また、過去の非行事実を隠して紛れ込んだ職員がいた場合は、これを事後的にでも排除できるような仕組みを確立し、厳正な規律を徹底することが大切だと思う。
私たちは、この機会を逃してはならない。

そこで、私から、「今後も調査・追及を進めるが、その1方、日本年金機構の職員採用のあり方をどうすべきかという視点からの対応が必要」ということを、谷垣政調会長や伊吹幹事長に進言、冒頭の、「社会保険庁ヤミ専従問題対策ワーキングチーム」を始動させ、私が座長を務めることになったわけだ。
実は、「日本年金機構」は、職員の採用・募集について、前出の「全国健康保険協会」と異なり、比較的詳しく法律で規定している。
この法律に基づき、厚生労働省は、この夏位までに、厚生労働省としての職員の採用基準をまとめるようだ。
ただ、先にも述べたように、ことは、厚生労働省任せにできる問題ではない。
だからこそ、わが党としても、例えば、「ヤミ専従=給与の不正受給」にかかわった職員だけでなく、「給与の不正支給」にかかわった社会保険庁の官僚も含め、「年金業務を扱うにふさわしくない方々」の基準を策定しなければなるまい。
そして、これらの方々を採用できないことを明記した法律案(日本年金機構法の改正)を次期臨時国会に提出することも視野に、検討を進めていく考えだ。

これまで、とかく、自民党は、労働組合の攻撃はするが、官僚を斬ることには不熱心で、ときに官僚にダマされたりもしてきた。

また、逆に、民主党は、官僚の攻撃はするが、選挙でお世話になっている労働組合を斬ることは不熱心(不可能?)だ。
実際、社会保険庁の組織についても、何と今でも、公務員の身分のままでの温存を主張している位だ(もっとも、これを大きな声で主張するとマイナスになることを恐れてか、民主党は、テレビ等でこの主張を大々的に展開することはしていない。)。

与野党がこうでは、年金業務に対し、国民の信頼が得られようはずがない。
私は、「新しい自民党」は、
○給与を不正に受給していた労働組合幹部
○給与を不正に支給していた社会保険庁幹部
のいずれに対しても厳しくなければならないと考えている。

私のワーキングチームの作業に対しては、もしかしたら、今後、各方面からのリアクション(あるいは「妨害」?)があるかも分からない。
それでも、ここが正念場、しっかりとふんどしをしめなおして、国民の理解が得られる結論を出していきたい。