「政治家を志した原点」とは~「国民生活を混乱させれば自党に有利」ってどういうこと?

2008-3-26

葉梨康弘君の活躍を期する会にて

3月18日、「葉梨康弘君の活躍を期する会」が開催された。
当日は、伊吹幹事長、武部元幹事長、古賀選対委員長、大島国対委員長、舛添厚生労働大臣ら、多くの先輩の御来臨を賜り、国会や党内での、葉梨康弘の活動について、具体的に紹介して頂いた。
心からのご指導・ご支援を賜った約600人の支援者の方々、ご来賓の諸先輩に、この場をお借りして心から厚く御礼申し上げたい。
さて、世の中は年度末というのに、国会の方は、3月の最終の週に入った時点で、動く気配すら見せない。
例えば、税制関連法案の参議院での審議は、衆議院からの送付後3週間を超えるが、一切審議が行われないという異常事態、私も、自民党国会対策副委員長として、朝から晩まで院内のタコ部屋に詰め、事態の打開のため、日々無い知恵を絞っている。
ただ、この「ねじれ国会」の中、参議院は民主党が仕切っている。彼らが休みたければ「国会は開店休業」という現実を目の当たりにし、本当にこれでいいのかと思う。
民主党の方々は、「政治家を志した原点」をどう考えているのか。

3月18日の私の挨拶は、そこらへんを述べたが、今回、コラム用に少しリメークして紹介する。(「政治家を志した原点」は「国民生活を良くすること」では)
「政治家」とは、本来、「国民生活を良くする」存在ではなければならないと思う。
私も、「真面目に頑張っている人が報われなければならない」との思いから、志を立て、「国民生活を良くするため」、政治家のはしくれに加えて頂き、爾来、命懸けで仕事をしているつもりだ。
ただ、私は現在、国会対策副委員長という、いわば権力闘争の最前線にいるが、ちょっと(大いに)首を傾げることが多い。
特に最近は、民主党の中に、「参議院民主党の使命は、税制法案の採決をできるだけ先延ばしすることだ。1週間や2週間程度の暫定税率切れの後衆議院で再可決では、国民には(実際には生活の混乱が起らないため)問題が実感されない。だから4月末位まで、(とにかく採決をせず、)審議を引き延ばせば、1月程度の暫定税率切れが現実となる。そうすれば、国民から(生活の混乱への)非難が政府与党に集中し、解散に追い込める。」といった趣旨の発言をした国会対策の大幹部もいると聞き、正直耳を疑った。

(「国民生活を混乱させて政権奪取」では政治家の資質が疑われる)
「暫定税率が必要か否か」などの点については、もとより色々な議論はあろう。
加えて、昨今問題となった日銀総裁人事も、政府の政策との整合性を重視して財務省出身者とすべきか、財界とのつながりを重視して経済人とすべきか、これもやはり議論はあろう。
しかし、民主党の方々が、もしも上記のような考え方を持っているとすれば、それは、議論云々の問題ではない。
再度言う。私は、政治家とは、「国民生活をより良くする」ことを目指して、それこそ命懸けで仕事をする存在であると信じている。
「国民生活の混乱」を「国民に実感させること」により、「政権奪取」を図ろうとするような方々がいたとしたら、政権担当能力の有無以前の話として、政治家としての資質が欠如しているとしか思えない。

(民主党の地方議員は「暫定税率」に賛成!!)
しかも、民主党の多くの地方議員は、すでに「暫定税率の維持」を、少なくとも議会の投票行動で支持している。
年度末を控え、各都道府県及び市町村の議会では、多くの民主党議員が賛成する形で、平成20年度の予算がすでに可決・成立した。
そして、これらの予算は、例外なく、軽油引取税の「暫定税率」に基づく税収や、国会審議中の道路整備財源特例法に基づく国からの交付金を折り込んだものだ。
だから、これに賛成票を投じた民主党の地方議員は、「暫定税率の維持」を望んでいるということになる。
私の住む茨城県の県議会、取手市議会でも、民主党の議員は、予算案に賛成したそうだ。
その意味でも、民主党の主張には一貫性がない。
もっとも、我々としては、「地方は賛成」、「国は反対」でもいい。暫定税率に賛成でも反対でも、国民生活の混乱を回避するため、年度内に、賛否を明らかにし、採決に応じてくれさえすれば良いだけの話なのだが。

(それでもこつこつと「夢を与える」仕事をしなければならない)
しかし、我々自民党は、民主党の批判ばかりをしていればそれでいいというわけではないと思う。
批判合戦だけであれば、国民には見苦しい限りで、全体的な政治不信を増幅することは間違いない。
政治家は、こつこつと仕事をしつつ、やはり、国民に夢を与え、将来のビジョンを示していかなければならないと思う。
幸い私は、これまで、北朝鮮人権法、探偵業法、振り込め詐欺被害者救済法などを中心的立場で立案し、現在も、党地方行政調査会の事務局長として、地域のコミュニティ活動を元気にする「コミュニティ活動基本法案」の策定を目指したり、「公務員制度改革を断行する若手議員の会」事務局長として、公務員にやる気と厳しさを持たせる方策のとりまとめを行うなど、前向きの仕事をする機会に恵まれ、大変感謝している。

(日本の農村風景を綺麗にする~机上の空論でない「夢のある構想」)
加えて、具体的に1つだけ、携わっている活動を紹介すると、私はこの度、「配合飼料高騰対策プロジェクトチーム」の座長に就任、5月末までに、集中的な討議を重ね、結論を出すこととなった。
その検討課題の中に、「飼料用米等対策」がある。
実は、私個人は、現在2200万㌧輸入している飼料用穀物(トウモロコシなど)の半分近くを、数年後には、国産多収穫米(反収1㌧程度、今はまだ種籾が少ない。)に代替する構想を持っている。
わが国の水田面積は約260万㌶だが、主食用米の需要は今後700万㌧台で推移することが予想され、人間用の米の作付け面積を150万㌶程度に押さえなければ、米価は暴落する。
このため、現在、アトの110万㌶を、畑に使うほか、荒れ放題のブタ草畑化しているが、これは、本来の水田の使い方ではない。
でも、豚や鶏が食べる飼料用米(私も炊いて食べたことがあるが、人間様の食べる米と異なり、臭い米だった。ただ、国家緊急事態には、人間が食べることも可能と感じた。)を、将来、例えば1000万㌧作るようにすれば、この現状を打破し、約100万㌶の水田を、水を張った水田として生き返らせることができる。
五月晴れの空の下、わが国のほとんど全ての水田に水が張られた風景は、まさに、「早乙女が裳裾(もすそ)ぬらして」の「夏は来ぬ」の世界、日本は、もっと綺麗な国になるはずだ。
私は、こういった、少しは夢のある構想を、決して机上の空論でなく、具体的に打ち出していきたいと考えている。

(そして国の根幹である憲法の議論も)
私は、与党の一員として、具体的な構想を提示していきたい。
私は、民主党の方々も、もともとは、国民生活をより良くし、国民に夢を与えるために、政治家を志されたものと信じている。
だからこそ、私たちがこつこつと仕事をすることで、民主党の心を解きほぐし、今日は書かなかったが、私のライフワークである憲法問題などについても、議論できる環境が作れればと考えている。