自由民主党副幹事長に~政局の安定こそ大切

2015-12-6

副幹事長は毎週の党役員連絡会に出席する


10月7日の内閣改造により、私は、法務副大臣兼内閣府副大臣の職を、大過なく終えることができた。
これも皆様のおかげと、心より感謝したい。
平成25年9月以降、財務大臣政務官に引き続き、法務副大臣兼内閣府副大臣を拝命したため、政府の中に2年間身を置いたことになる。
そして、私が席を置いた財務省と法務省は、ある意味で共通するところがある。
それは、両省とも、「各論官庁」ではなく、「総論官庁」だということだ。

霞が関の官庁には、多くの業界団体から、特定の分野に予算をつけてほしい、特定の分野の税金を負けてほしいといった、数々の要望が来る。
そして、地方税や電気通信関係であれば総務省、医療介護や保育関係であれば厚生労働省、企業活動関係であれば経済産業省、学校関係であけば文部科学省、社会資本整備関係であれば国土交通省、防衛産業関連であれば防衛省、農林補助金関連であれば農林水産省、環境税関連であれば環境省などといった具合に、各種の陳情がなされる。

ただ、法務、財務の両省、これに加えて外務省もそうかもしれないが、彼らは、ほとんど「業界」を持たない。
しかも、例えば財務省が取り組んでいる「財政再建と経済成長の両立」、法務省が取り組んでいる「刑事司法改革」や「経済取引の基礎となる民事法制の整備」といった課題は、国民の皆様に、総論的には「何となく大切な課題なんだな」と思っていただくことはできても、実感としてはなかなかなじみがない。

このような課題を達成するため、財務省が歳出改革を進めようとすれば、多くの業界からは悪者扱いされることとなるし、法務省が刑事訴訟法や民法の抜本改正を提案しても、これといった応援団は見つからない。
ただ、国家百年の計を考えたとき、このような「総論的課題」にしっかり取り組まなければ、将来の国の姿を描き得ないことは明らかだろう。

私も、公務員を退官して政治の世界に飛び込んでからすでに16年、初当選から数えても12年を経過したが、この間の日本政治が、なかなか長期的な課題に的確に対処できて来たかどうかを考えると、残念ながら、合格点を下回ってきたと言わざるを得ない。
もっとも、その中で実感したことは、政局が不安定になると、どうしても長期的課題がおざなりになり、各党の政策が、ポピュリズムに走りがちになるということだ。

ここで言う政局の安定とは、決して、1つの党が独裁的な権力を握ることではない。
ポピュリズム政党が、一旦絶対多数を確保したとしても、結局は政策遂行に矛盾を来たし、政局がさらに混迷してしまうのは、これまでの歴史からも明らかだ。
国際情勢を無視した非現実的な決めつけ政策、できもしないバラマキ政策(例えば、かつての「埋蔵金」議論のように、ありもしない事実認識に立脚したペテン師的な政策)などを主張する政党が多くの議席を握れば、国会でまともな議論はできなくなるし、いきおい、日本政治全体がポピュリズムに走る危険性が増そう。

そしてそうなれば、長期的には極めて大切な総論的課題が、ますます後回しになってしまいかねない。
その意味で、国民に対し、現在日本が直面する問題をしっかりと説明し、現実的な観点から政策を評価していただき、長期的な課題についての議論ができるような政局の安定を確立することが大切になる。

私は、10月16日の総務会で、新たに、自由民主党副幹事長に就任した。
来年には参議院議員通常選挙を控えている。
今回の参議院議員選挙は、いわゆる1人区が32に増加し、そこでの勝敗が、今後の政局の安定・不安定を大きく左右することとなる。
しかも、1人区の多くは、第1次産業を主産業としており、多くの有権者が、今回のTPP大筋合意に等に不安を感じている。

今後の課題は、まさに現実的な視点から、丁寧な説明を行い、有権者の不安を払拭するとともに、ポピュリズムでなく、長期的課題も含めた地に足の着いた政策を、有権者とともに考える土壌を作っていくことにある。
来年に向け、幹事長室の課題は大きい。