国民・地方が共感できる経済対策を~政調全体会議・総務部会で持論を展開

2008-9-7

地方6団体代表を前に国民・地方重視を力説

9月1日、福田総理の突然の辞意表明を受け、政局は、にわかにあわただしくなってきた。
私自身、先のコラムでも述べた通り、8月下旬に、国会対策副委員長をお引き受けし、私なりに、この臨時国会の運営について策を巡らせていただけに、今回の辞任表明には、正直、「もう少し頑張って頂きたかった」という残念な思いはある。
総裁選についての見解は、又のコラムで書くとして、今日は、総裁選挙でも争点となるであろう総合経済対策や景気対策の在り方について、私が、現在、どのような主張をし、実現に移そうとしているかということを書いてみたい。
今、正直いって、油も高い、生活必需品の物価も高い、でも給料は上がらない、多くの国民が、将来に対する不安を抱えている。
もとより、その直接の理由は、わが国ではなく、米国のサブプライムローン問題に端を発した海外ファンドの原油先物・穀物先物市場への投機にあるのだが、原油・穀物価格高騰の悪影響は、資源のないわが国が被り、国民生活には不安が募る。
だから今、緊急経済対策の議論が行われているわけだが、私は、その中で、国民・地方の共感をどのように得ていくかという点が、重要なポイントと考えている。(痛みの共有が必要~国会議員・国家公務員の緊急給与カットを)

「改革なければ成長なし」、「改革には痛みを伴う」をスローガンとした2001年からの小泉構造改革は、色々言う方もいるが、私自身は、日本経済の成長という意味では、一定の成果を上げたと考えている。
ただ、昨今の原油・穀物・資材の高騰は、正直予想外だったが、対策は待ったなしだ。
そして、現在、民間や地方は、このような難局に対処するため、大胆なコストカットや行政改革を進め、原料高の吸収や、社会保障費の捻出に充てている。
もとよりこれには痛みを伴う。
例えば、現在約1800ある市町村のうち、既に約1150の自治体は、職員の給与を、人事委員会の勧告より低い水準に設定、事実上の給与カットを実施するという、涙ぐましい努力を行っている。
ただ、国はというと、国会議員や国家公務員について報道されるのは、「税金の無駄遣い」や「天下り」ばかり。
私が地元を歩いていても、「国の議員や公務員は、我々と痛みを分かち合おうとしないのか。」という切実な声を聞く。
このことが、国の政治や行政への国民の不信を招いている。
そして、国の側に、「痛みを共有する」姿勢がないままに、例えば景気対策と称して、将来の世代につけを残すことになる赤字国債を発行したとしても、私は、国民に将来への不安を与えこそすれ、安心の確保にはつながらないのではないかという危惧すら持っている。
このため、私は、8月28日の政務調査会全体会議及び総務部会(公務員の給与関係法令は総務部会の審議を経る。私は現在、総務部会長代理。)において、次のような持論を展開した。
「経済対策を打つにしても、国民の共感を得られるものでなければならない。
行政のムダの撲滅は当然としても、多額の財源を捻出するには、やはり何年かかかる。
そこで、憲法上の問題もあるため、平成20年度1年間だけでもいい、国会議員の歳費2割カット、国家公務員の給与1割カットすべきだ。
これだけで5400億円の財源が捻出できる。
これを、社会保障費や国民生活対策に充てる、それぐらいのことをやってこそ、国民は、『国も、痛みを分かち合って、そこまでやってくれるなら』という気持ちになるのではないか。」
自民党では、これから総裁選が戦われることになるが、新総裁の資質の1つは、やはり、国民の痛みに敏感であることだと思う。

(地方が消化できる経済対策が必要~地方財政への手当てを)

もう1つ、私が、8月28日の政務調査会全体会議と総務部会で主張したのが、経済対策を行うに当たっての「地方財政への手当て」だ。
バブル崩壊後、国は、矢継ぎ早に景気対策を打ち、地方自治体は、国の補助金等を得て、ハード(公共事業等)、ソフト(地域活性化支援等)両面の経済対策を実施したが、このときの地方の借金が、今、地方自治体の財政を圧迫している。
だからこそ、私は、次のような主張を展開した。
「経済対策を打つ以上、喜ばれるものでなければならない。
もしも地方財政への手当てを行わない経済対策を策定したとしても、地方自治体が財政上の理由からつきあってくれなければ、絵に描いた餅となってしまうし、地方自治体が渋々つきあったとしても、地方自治体からは不興を買うだけだ。
この種事業に対する交付税措置は異例ということだが、ここはしっかり、地方財政への手当てを行わなければならない。」
この点については、9月5日までに、今回の補正予算の中で、原油高騰対策や離島航路の維持、中小企業の支援などに取り組む地方自治体に対し、事業規模に応じて500万~3千万円を交付する仕組み(総額260億円)を盛り込むことができる見通しになった。
まあ、不十分とはいえ、前例を破ることが出来たわけだが、私は、今後とも、このような地方重視の経済対策の主張を行っていきたいし、新しい自民党総裁には、是非、しっかりと地方財政に配慮していただける方になっていただきたいと考えている。