自分に甘く他人に厳しい民主党(1)~鳩山・「幽霊献金」問題が明らかにした民主党の体質

2009-7-16

国会で鳩山「ユウレイ献金」問題を追及

7月3日と7月9日に開かれた政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会(倫選特)。
私は、民主党・鳩山由起夫代表の、いわゆる「故人献金(ユウレイ献金)」問題について、質問に立った。
鳩山・民主党代表が、何年も前に死亡した人物から個人献金を受け取ったこととし、このような虚偽の事実を、政治資金収支報告書に記載していたことを報じたのは、6月16日の朝日新聞だ。
この疑惑については、鳩山代表本人に説明して頂くしかないわけだが、鳩山氏側は、弁護士も交えた2週間に及ぶ「綿密な」調査の上、6月30日、その調査結果を会見で公表し、「説明責任を果たした」としている。
ところで、5万円以上の個人献金は、その氏名、住所等を公開しなければならないこととされている。
鳩山代表に対しては、毎年約70数名の方が5万円以上の献金を行ってきたと報告されてきたが、6月30日の発表によれば、50数名は「架空」で、実際は10数名に過ぎなかったという。
これもオカシナ話だが、6月30日の釈明会見自体、「ウソをウソで固めている」疑いが濃厚なのだ。鳩山由起夫氏の、いわゆるユウレイ献金問題は、まさにナゾだらけだ。

鳩山氏側は、6月30日、平成17年以降、故人も含む架空の人物から個人献金をしたことにする偽装を行っていたことを認めた。
その総額は、2177万円に上るという。
そのお金の出所は、鳩山氏が、秘書に預けていた数千万円?~数億円?のお金らしい。
そして、鳩山氏や岡田幹事長はじめ民主党の幹部は、「もともと鳩山さんのお金なのだから問題ない」、「説明責任」を果たしたと曰(のたま)わっている。
庶民感覚ではさっぱり分からない説明だが、この問題、本当に「問題ない」ですむのだろうか。

1本当に鳩山氏個人のお金なのか

ユウレイの方などからの献金の総額が、もし仮に鳩山氏が発表したように、2177万円で正しかったとしよう。
でも、それが、鳩山氏個人のお金であるというのは、ご本人が言われているだけで、他には何の証拠が示されていない。
現に鳩山氏は、毎年約1000万円をこの団体に寄付しており、毎年3000万円といわれる本人の所得の中から、それ以上のお金を捻出する余裕があるのかないのか、これも良く分からない。
そしてこのお金が、企業からの裏金なのか、親御さんからの生前贈与なのか、この説明では一切分からない。

2本当に2177万円だけの偽装なのか

加えて、本当に2177万円だけの偽装だったのか、疑惑が指摘されている。今後の進展如何によっては、6月30日の鳩山氏の記者会見が、「ウソでウソを固めた」、「国民を愚弄した」ものと言われても仕方なくなる可能性を孕んでいる。

(1)平成16年以前のいわゆる「ユウレイ献金」は?

平成16年以前にも、いわゆる「ユウレイ献金」があった可能性が高い。
すなわち、平成14年から平成16年までの3年間の収支報告(官報)を見ると、6月30日の訂正報告で、故人・架空とされた人物と同姓同名、同一市町村居住の人物に係る寄付が、少なくとも906万円計上されている。
普通の感覚で考えれば、この906万円の大半は、いわゆる「ユウレイ献金」。だとすれば、「2177万円のみの偽装」という鳩山氏の説明は、ウソだったことになる。

(2)5万円以下の「匿名献金」は本当?

6月30日の「訂正申告」で、70数名いた氏名の明かな個人献金者は、10数名に減ってしまった。
しかし、鳩山氏は、氏名を公表する必要のない5万円以下の個人献金については、「真正なもの」と言い張っている。
でも、鳩山氏について言えば、5万円以下の「匿名献金」は、平成19年で約2800万円で、他の政治家と比べ、異常に多い。
鳩山氏は、何故、1人当たり1万円としても、数千人からの個人献金を集めることができたのだろうか?
「匿名献金」が真正なものだというなら、毎年何人からの寄付を受けたのか、その人数くらいは明らかにして欲しいという衆議院倫選特委員長からの要請を、鳩山氏は、今でも拒み続けている。

3税金逃れに使われた疑いも

加えて、鳩山氏の政治団体が、実は寄付をしていない故人や架空の人物について、総務大臣から、税金の還付申告に用いられる寄付金控除証明書の交付を受けていたことも明らかになった。
平成17年から19年まで、このような架空の寄付金控除証明書
の交付は、75人分、約1200万円に上る。
仮にこの控除証明書が悪用されていれば、これは、まさに詐欺事件だ。

いずれにせよ、鳩山「ユウレイ献金」の問題は極めて根が深い。しかも、鳩山代表や岡田幹事長が「説明責任を果たした」とする6月30日の記者会見は、「ウソをウソで固めた」ものである疑いが濃厚だ。
次回のコラムでものべるが、今回の問題を通じ、私は、鳩山氏の掲げる「友愛」とは、「身内への愛」だけであることが良くわかった。
すなわち、他人、特に与党の疑惑はどんなに細かなことでも問題にするが、自分の疑惑については責任もとらず、説明もしない。
いずれも「政治とカネ」の問題で大きな疑惑を持たれている小沢氏と鳩山氏という「盟友」が、お互いに対する「愛情」をもって、「世間は法律違反っていうけど、僕達は悪くないよ。法律や捜査機関が悪いんだよ」と傷をなめあうことを「友愛」というならば、そんな「友愛」は、百害あって一利なしだ。
ただ、問題なのは、それに対抗する与党・自民党が、何か頼りない体たらくを示していることだ。
これも次回コラムで述べるが、私は、自民党を造りかえることこそが、今の日本に必要と思っている。
何故なら、現在の民主党・鳩山氏の政治姿勢は、国民を愚弄し、政治全体に対する国民の信頼を大きく損なうものだからだ。
今の民主党は、わが国の将来の受け皿にはなり得ないからだ。

麻生でも鳩山でもない、我々こそが日本の政治を変えていく。